朝顔池

ミンイチ

第1話

 昔、この土地にタイムカプセル埋められたらしい。


 それには何人かにとって大事なものと、朝顔のタネを入れて地中深くに埋めたらしい。


 時が流れ、埋められたことも、そもそも誰がそこで暮らしていたのかすらも忘れられた頃に、朝顔のタネが育ち始めた。


 地面に根を張り、上にある土や石をかき分けて地上を目指して伸びていく。


 伸びて伸びて、ついに地上に芽を出した。


 しかし、朝顔が芽を出した頃にはタイムカプセルが埋められてからあまりにも長い時間が過ぎていて、地上で暮らしている生物は小さくなっていた。


 芽が出た朝顔の成長スピードは、芽が出た時代の朝顔のサイズになおして考えると、少し遅いペースだった。


 しかし、あまりにもサイズが大きすぎるのでこの時代においては、成長スピードが早すぎる。


 朝顔のあまりにも早すぎる成長にその場所に住んでいる人々はその朝顔を恐れ、早々に燃やしてしまった。


 朝顔は燃えてなくなったが、それがあった場所には大きな穴が残ってしまった。


 そして雨が降り、水が溜まり、今では、朝顔池とも呼ばれる泉になったのです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

朝顔池 ミンイチ @DoTK

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説

雪の降る受験日

★3 現代ドラマ 完結済 1話