君は……

Noo

第1話

夏空の下。照りつける太陽と全身から出ているのかと思うほど、

ドバドバと出ている汗。こんなに暑い日にも学校があるなんて、噓と言ってくれ。俺はそんなことを言いながら、七月の始まりを強く感じていた。何言ってんの?先週からこれくらい暑かったでしょうが。来週からはもっと暑くなるらしいよ。隣で少し棘のある喋り方と美しい美脚を見せつけるのは俺の幼馴染の鈴木桜優(すずき さゆ)だ。勉強はそこまでだが、この美人っぷりは幼馴染としてうざいくらいだ。しかし、そんなことはどうでもいいくらいさゆは足がきれいだ。あまり大きな声では言えないが、じっくりと観察して、出来るなら、一度でもいいから足を触りたいと思うほどだ。何考えてるの?さゆはジロジロ見られているのがわかったのだろう。俺はそんなこと微塵も思わせないように。なんにも。と夏の暑さに対して、さゆの視線がとても冷たい。そんなこと言ってないで遅刻するぞー。俺はそんな空気をかき消すように小走りで学校の方へ歩き出した。校門で先生達と生活委員が朝の挨拶のために並んでいる。おはよう…そんな声を先生か名前も知らない生活委員の誰かに送ろうとすると、横から大きな声がした。今日もおはよう我が弟よ。それは我が兄であり、この学校の生徒会長である、松岡煌(まつおか あき)だった。意気揚々と朝に聞くと頭痛になりそうなくらい響く声で挨拶をしてきた。おはよう兄者。俺はいつも通りめんどくさそうに返事を返した。さゆちゃんもおはよう。いつも弟の面倒ありがと。兄が笑いながら言うと、いや。しんが一人だと寂しそうですからね。さゆがこちらを見ながら言った。ハイハイ。俺は友達の少ない人間ですよ〜。朝のホームルーム始まるぞ。時間に余裕はあったが、兄貴の言葉を毎日聞いていたので少し聞き飽きていた。さゆも俺についてくるように下駄箱にきていた。下駄箱につくと、トントンと後ろから肩を叩かれた。振り向くと、さゆが俺の生徒手帳を持っていた。落としたのか。ありがとう。と言って取ろうとしたら、二年三組 松岡心(まつおか しん)君。と聞き馴染みのない声で視覚は目の前の人物をさゆと認識しているが、聴覚では、さゆではないと電気信号が送られてくる。俺はとっさに、誰だ。と声が自然に出ていた。目の前の人物はスッと俺に生徒手帳を手渡し、去っていった。少し頭を回転させた後にさゆが少し遅れて、下駄箱にやってきた。さゆに、なに下駄箱で止まってるの?と聞かれ、変な人に少し絡まれたんだ。と俺は生徒手帳を渡した人物をもしかしたらと思いながら、さゆには少しの嘘をついた。自分の想像通りの人物かどうか、確認することもできないし、それをさゆに言うのは俺的に少し負けた感覚があったからやめてしまった。そして、二年三組の教室に足を踏み入れた。今日も暑いな。後、二週間で一学期も終わるが、なんと今日は転校生がいます。先生が耳を疑うような事を言った。クラス全体がざわざわとし始める。男子達は、可愛い女子こい。などという夢物語を語っていて、女子達は、かっこいい男子かな〜。と言いこちらも夢物語を語っている。先生の入って来い。という声から一拍おいて、教室のドアが開かれる。俺は見逃さなかった。そのさゆに似た顔つきと、さゆに負けないほどの美しい美脚をしていると。そして、その時俺は、下駄箱であったことを思い出していた。転校生は壇上に上がり、黒板に自分の名前を書いているが、俺はその転校生を知っていた。転校生は鈴木美由(すずき みゆ)、さゆの双子の姉にして、俺の初恋相手であり、現在は芸能活動もしてる正真正銘の女神であった。右前の席にいるさゆの顔を見ると、俺の目から見てもさゆは嬉しそうではなかった。

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