一瞬でいい。それで誰かに突き刺さるのなら。
紫乃遼
第1歌 縋る弱者のフィロソフィー
僕は どうしたらいいんだろう?
曖昧模糊に 思い悩んで
抽象性しかもたない悩みを
誰かに掬って ほしくもなくて
通り一遍 一片だけの同情も
意味がないから
僕の奥の奥底まで届く
強烈な光 すらも拒んだ
結局は 結末で 笑ってたい それだけだった
カントもフロイトもいない世界で
僕は 僕を 貫きたかった
――認めてほしかった 君に
僕は どうすればいいんだろう?
空漠茫乎の 思い抱えて
具体性を掴めそうで掴みきれない
誰かに救える はずがないだろう
通り一遍 一片だけの憐憫も
意味がないから
僕の奥の奥底まで届く
鮮烈な光 すらも怯えて
全部 全部 怖いからと逃げて
逃走と 遁走は とても得意で
差し伸べられた手すら 払い退けた
結局は 終末で 救われたい それだけだった
フロムもニーチェもいない世界で
僕は 僕を 貫く方法を
君を 僕で 貫く方法を
――教えてほしかった 君に
一瞬でいい。それで誰かに突き刺さるのなら。 紫乃遼 @harukaanas
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