第3話 カードショップ

クラスメイト達とカードショップに到着し、各々が自由に店内を回っている。


チャラい系の3人組はサリアに話しかけまくって暴力を振るわれていたり、友達とカードを見ながら談笑したり様々である。


授業に組み込まれているだけあってカードショップがバカでかい。前世では見たことないレベルである。


俺は新しく入荷したカードのエリアで使えそうなカードがないか漁りまくっていた。


高いレアカードから安いノーマルカードまでデッキに入れられる上限の3枚ずつを買った。


「そんなに買ったのですか?」


9枚くらい買ったら黒髪の少女に話しかけられた。


彼女は同じクラスのシズネ・フロードさんだ。美しい黒髪を姫カットにした日本人のような顔立ちの少女だ。お嬢様のような彼女こそが真の清楚だと思った。どこかの紛いのものとは違


ゴッ


「アンタ今失礼なこと考えたでしょ?」


そんなことを考えていると後ろにサリアがいた。普通に後頭部を殴られた。痛すぎる。


「大丈夫ですか?」


シズネさんが心配してくれる。日本人のような顔立ちをしているため見惚れてしまった。


「大丈夫大丈夫」


そう言って無事なカード達を見せる。大丈夫なのはカードであって自分の体ではないと案に伝える。


するとフフッと笑ってくれた。かわいい。


「それで何買ったの?」


「新しく入荷したカード3種類3枚ずつ」


サリアの質問に答え二人に見えるようにカードを見せる。


「こんなカード使うの?」


訝しんだ顔をしながらサリアが聞いてくる。


「お前の速攻竜のメタ」


そう言うと「は?」とブチギレられた。人は自分のメタカードを見せびらかされるとブチギレることが分かった。


「こっちのカードは何に使うのですか?」


「そっちは普通に強いカード。今のうちに二人も買った方がいいよ」


さっき見つけた中にやばいカードが入っていた。


ほとんどのカードゲームにはコストというものがある。


カードの効果を使うために必要なものである。


前世のどのカードゲームでもコストは重要なものであり勝敗を左右する要因にもなりうる。


チェインにもコストがありそれはコネクトと呼ばれるものである。


チェインはモンスターをチェイン(召喚)する時、コネクトを消費しないがストーリーカードを使うときに消費するものである。


ストーリーカードは自分のターンのみ発動できる使い捨てのカードでありイベントカードは自分と相手のターン両方で使えるカードである。


チェインには今までコストを増やすカードがほとんど無かった。


だがさっき見つけたカードはコストを減らすカードだった。


一枚目が"鎖編み"というカードでコネクト消費は1、効果は

このカードはコネクトを消費する代わりに手札を1枚捨てる。

デッキの一番上のカードをコネクトする。


二枚目が"アリシア協定"というカードでコネクト消費は2、相手モンスター1体を選択する。そのモンスターはこのターン戦闘で破壊されない。そして、自分のモンスター一体の結合力(c)を30上げる。。


一枚目のカードはデメリットはあるがコネクトを増やせるカードが貴重であるためかなり高かった。


問題は二枚目のカードだ。二枚目のカードは俺の切り札と相性が良い。


それを二人に説明していると近くで争いの声が聞こえた。


「へぇ〜。こっちのエリアにはこういうカードがあるわけね」


「返せよ‼︎」


俺達はそっと覗いてみると、なんと他国の生徒がいた。


他国の生徒と分かった理由は制服だ。


制服は国ごとに違うデザインになっているため一目で判別できる。


この学園はさまざまな国の生徒が所属しているが、本来自分の国のエリアがあり他国のエリアには入ってはいけないことになっている。何故なら仲が悪い国同士や戦争中の国もあるため学園側が面倒事が起こらないよう互いに不干渉にしているからである。


(なんでここにオーザンの人間がいるのよ)


サリアが小声で問いかけてくる。


(分かりません。他国のエリアに侵入することは禁止されていることなのですが)


「なんだお前達?」


俺達がコソコソ話していると他国の生徒が話しかけてきた。


俺は面倒ごとに巻き込まれるのは嫌だったので


「何でもないです。失礼しました!!」


と大声で言い二人を連れてカードショップを出ようとした。


しかし


「ちょっと待て」


と呼び止められ


「お前の持ってるそのカード、見せてくれよ」


と獲物を狙った目で言われた。


なので


「やだ!!」


と大声で叫んだ。


相手は大声で少し怯んだ。


「そもそも貴方達はなぜこのエリアにいるのですか?」


「そうよ校則で禁止されているはずよ」


怯んでいる相手にシズネとサリアが問いかけた。


「こっちに少し用があってな許可証は持ってる」


と他国の生徒は答えた。


俺達が話しているとさっき他国の生徒と口論になっていた男が追いついてきた。


「おい、俺のカードを返せ!」


「カードを賭けたお前が悪い」


どうやらお互いのカードを賭けてチェインをしていたらしい。


「この学園では他国のエリアに無断で侵入することは校則違反だぞ!」


「許可証ならある」


「嘘だ!」


「鬱陶しい!負け犬風情が!」


他国の生徒が大きな声を出すと途端に男は怯えて一歩後ろに下がった。


怯えるのも仕方がない。他国の生徒は目が鋭く坊主に剃り込みが入っており、たくさんピアスをしているためチンピラにしか見えない。


しかし、それが逆に黒と赤の制服に似合っている。危ない雰囲気を纏っていて少しかっこいいと思ってしまい、イラッとした。イケメンを見るとイライラする。


「なぁお前同じ学校だろ。助けてくれないか?」


男は怯えながら俺に助けを求めてきた。


ここで俺に助けを求める普通!?


「いいぜ、お前が勝ったらこいつのカード、返してやってもいいぜ?」


他国の生徒がそう言うと男は喜びながら


「やるやる」


と答えた。


俺の中で男の評価はゴミクズ自業自得男に変わった。


俺は何としてもやりたくなかったので拒否すると、男が逆ギレしてきて女子達も参加し、口論になった。


口論がヒートアップし、押された時、さっき買ったカードが男の足元に落ちた。


男はカードを拾うと他国の生徒に話しかけた。


「あんたこのカードが欲しかったんだろ?」

「このカードと俺のカード、交換してくれよ」


と言いやがった。


は?


「いいぜ、返してやるよ」


他国の男は俺のカードを受け取ると男にカードを返した。


そのまま男は逃げるように去ってしまった。


「おい、俺のカード返せ」


俯きながら言うと相手は


「は?なんでだよ?俺は正式にカードを交換して手に入れたんだぞ?」


確かにそうだ。だがまぁいっか...とは、ならないだろ。


何故なら


俺が


この世で


1番


嫌いなことは


自分のカードを取られることだ。


ふざけるな。


その汚らしい手で俺のカードを触るな。


前世の頃から俺は他人にカードを触られるのが苦手だった。


「俺が負けたらデッキごとやる」


「言ったな?」


「ちょっと、デッキごとはやり過ぎよ!」


サリアが止めてくるが、俺は怒りで周りが見えていなかった。


「どこでやるんだ?」


「カードショップにフィールドがある」

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