僕が平和の国の女王になるまでのお話、カーテンを開けばそこには知らない世界が広がっていた、男だと思っていた僕はこの世界ではどうやら本物の女の子で、しかも何処かの皇国のお姫様らしいのだが

夢七夜 孤島(ムナヤ コトウ)

プロローグ


 何の因果か分からないけど、僕は突然異なる場所に飛ばされた。

多分、どこか昔のヨーロッパ風の異世界に来たのだと思う。


 

 因みに今は大空に蒼白くキラキラした鱗のドラゴンが飛んでいるのを見ている、僕らが居た世界とは異質で大きな存在で有り、異世界の象徴とも言える。


 

 僕はもう見慣れてしまった、けどもし同じ世界から初めて飛ばされた人間が居て、この光景を見たら一体どんな顔をするのだろうか?


 

 またどういう反応をするのか見てみたいものだ。


 

 ドラゴンだけで無く、見たことも無い木々や花が咲いているのを見たら、どんな表情をするのだろうか?


 

 まあ植物だけならひょっとして、どこか異国の、そうだなぁ~~まだ足を踏み入れていない外国だと勘違いしてもおかしくは無いだろう。


 

 でも、自分が居た世界には空を飛ぶ翼の生えた生き物で、且つジャンボジェット機よりデカイ生物なんて、聞いたことも見たことも無いし、まして行ったことの無い国だとしても、ネットで調べれば、世界にはどんな生物が居るのかくらい分かる。


 

 そう、僕が数日前までいたあの世界に、あんな空飛ぶ生き物は見たことが無い。


 

 でも、昆虫の場合は毎日数百以上の新種が発見されているらしいので、もし空に飛んでいたのが、虫の類なら、此処は外国なのかな~と思っているのかもしれない。


 

 いや、思っていたいのかもしれない。


 

 言っておくが、ここで今語っている話は決して僕の妄想何かじゃない。



 畑仕事をしている人も、子ども達も同じように空を見上げている。


 

 彼等の様子からあのドラゴンは危険では無いのだろう………


 

 焦る様子など無く、子どもは背を伸ばしながら一生懸命手を振り、お年寄りと言えば手を合わせている人さえいる。


 

 神様みたいなものなのだろうか?


 

 ゲームで考えると、僕はラスボスとか恐ろしく手強いモンスターというイメージしか無い。まあ、カードゲームの場合は結構役に立つ召喚獣って感じではあるが。



 此処に飛ばされてどのくらい経過したのか? 分からない。



 時計が無いので尚更だけど、太陽が三、四回ほど月? と入れ替わったので、約三、四日くらいの経過だろうか?


 

 ……それとも実はもっとだろうか?


 

 今日はほのぼのとしたこの牧歌的な草原の上で、僕は何もすることが無いのでひたすら空を眺めている。


 

 何もすることが無いと言うよりも、突然のこの出来事に現実逃避をするしか無かったからだ。


 

 僕は男で有って、男の子じゃ無い!


 

 どういうことなのかは? ぜひこの話の続きを聞いて貰えば分かると思うので、そのまま聞いて貰えるとありがたい。



 普通召喚とか突然違う世界に連れてこられた場合、身体はそのまま移動するはずだと思ってた。 転生ものなら、別の誰かに入れ替わるとか、別の新しい生物や子どもとして生まれ変わるってことなら理解するし、多分その為に行動を起こすと思う。


  

  ━━僕が元いた世界の神の書物"ラノベ"にはそう書かれている━━



 ……でも僕の場合、何で女の子の姿なわけ?



 異世界だから何でも有りなのかも知れないけど、これはさすがに違うと思う。


 

 何か飛ばされる時に、きっと神様とかが勘違いしたのでは無いだろうか?

服装で僕のことを女の子と間違えたなら、是非男に戻して貰いたい。



 何であの日に限って…………



 そう、僕はいまセーラ服を着ている。決して趣味で着たのでは無い。

学祭の演し物で、ジャンケンで負けた何人かの女子は男性の格好、男子は女性の格好をして、踊りを披露すると言うものだ。


 

 ジャンケンは公平と言う無理矢理な条件でこうなった!!


 

 ジャンケンなんて自分は公平だなんて思えない、証明は出来ないけど、圧倒的にジャンケンに弱いと言う立場の人のことを考えてくれていない。


 

 あんなルールは無くなった方がいい。ジャンハラだ!!!!


 

 そもそも女の子の格好をさせられること自体、罰ゲームでしか無い(汗)


 

 仕方なく簡易的な試着室で着替え、ステージに向かおうとカーテンを開けたら……後々気付く事になるけど、高校生である雪白 夕ではなくなっていた。


 

 そうあの世界を変える一人の女の子に僕は変わっていた!?

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