俺だけスキルがソシャゲな剣〜父の死の謎を追っていたらいつの間にか世界を救っていた〜
ナガト
第1章 開花編
第1話 開花
この世界は謎だらけだ。
どうしてダンジョンは地球に現れたのか?
ダンジョンの魔物はいったいなんなのだろうか?
どうして父さんは帰ってこないのだろう?
今もどこかで生きているのだろうか?
俺は剣を振る。
父さんが庭でやっていた剣の鍛錬、その光景を必死で思い出しながら。
俺が振っている剣は、父さんが鍛錬で使っていた木製の大きな剣。
大剣と呼ばれる刀身が人の背丈程もある大きな剣だ。
父さんがダンジョン探索で死んだと聞かされたその日から、庭で剣を振るようになった。
あれから10年近く経つ。
当時8歳だった俺は、父さんを助けに行きたい一心で剣を振っていた。
だけど10年近く経った今では自ずと理解する。
父さんは死んだのだと。
だけど父さんがダンジョンで死んだというのは今だに納得できない。
当時世界最強のS級探索者と呼ばれていた父さんが、ダンジョンの魔物にやられるわけがない。
最高峰のS級ダンジョンも、日本に確認されているものは全て単独で攻略してみせた。
なぜ死んだのか?、手掛かりは一切無い。
ニュースでは海外のダンジョンで事故にあったとしか報道されなかった。
ネットを漁っても大した情報は出てこない、俺にできることは少ない。
ダンジョンに潜って探索者のランクを上げれば、何かわかるだろうか?
しかし俺だけ、通常12歳で開花するはずのステータスと呼ばれるものが無い。
なぜ俺にだけステータスがないのか?
ステータスが無いせいで、俺は探索者登録をすることができず、ダンジョンにも潜ることができない。
俺はいつかステータスが開花すると信じて、今日まで剣の鍛錬を続けた。
始めた頃は持ち上げるので精一杯だったが、今では軽々と振れている。
剣を振ることに意味があるかはわからない。
もしかしたら意味はないのかもしれないけど、それでもジッとただステータスが開花することを待っていることはできない。
剣を振っても「剣術」のスキルが手に入るわけでもないし、スキルレベルも上がらない。
スキルはスキルポイントによって入手し、スキルポイントを振ることでレベルが上がる。
だから一般的な探索者は何かトレーニングをすることはあまりない。
強くなるには魔物を倒してレベルを上げて、スキルポイントを振るのが確実だからだ。
ステータスが無い俺には不可能なことだけど・・・。
俺が物思いに耽っていると、横から声がかかる。
「お兄ちゃん?朝ごはんできたって」
妹の
今年18になる俺の3歳下の15歳。長い黒髪を腰あたりまで伸ばしており、身長は150cm程で母さんによく似た美人だ。
「わかった。すぐいくから先に行っててくれ」
「うん……」
俺は木剣を庭の物置に仕舞ってリビングへと向かう。
リビングに着くと、妹と母さんはすでに食べ始めていた。
急いで俺も席に座り、朝食を食べ始める。
「いただきます」
俺が食事を始めると、母さんが進路について尋ねてきた。
「
「……まだ決めてない」
今俺は高三で、ちょうど今日から冬休みだったりする。
周りの同級生は大学受験で忙しそうだが、俺は相変わらず剣の素振りやランニングを続けている。
「お父さんが探索者だったからって、別に英人も探索者にならなくてもいいのよ?」
「別にそう言うわけじゃ……」
父さんが探索者だったから、俺も探索者になりたいわけじゃない。
少し重たくなった空気をかき消す様に鈴が声を上げた。
「見て!レイナちゃんがテレビ出てるよ!」
「あら、レイナちゃんすごく美人になったわねぇ」
俺もテレビに目を向けると、幼馴染の天道レイナがインタビューを受けていた。
『まずはB級昇格おめでとうございます!』
『ありがとうございます』
『将来はS級が期待されていますがいかがですか?』
『特にS級にこだわりはないですが、成れれば嬉しいですね』
レイナは父さんが仲良くしていた探索者の娘で、昔はよくウチにきて一緒に遊んでいた。
だけどレイナとは中学に入学してから一度も会っていない。
俺もステータスがあれば、彼女のように探索者として活動できていただろうか……
いてもたってもいられなくなった俺は、素早く食事を終わらせ鍛錬に戻る。
朝食を食べ終えた俺は、鍛錬の続きをしに庭へ戻ってきた。
訓練用の木剣を手に取り素振りを再開しようと剣を振り上げると、突然脳内にファンファーレのようなものが鳴り響いた。
『パンパカパーン!』
「うお!?」
突然の音に驚き、思わず剣を落としそうになる。そして立て続けに無機質な女性の声が聞こえる。
『大変長らくお待たせいたしました、ステータスをリリースしました』
『リリース記念!レアスキル確定10連スキルガチャチケットが与えられます。インベントリにてご確認ください』
「ステータス……ついにきた!」
リリースとかガチャとか色々聞きなれない単語が聞こえてくるが、そんなことよりも……これでやっと……父さんを探しに行ける!。
長かった……本当に長かった。
気になることはあるが、早速ステータスを開いてみる。
「ステータスオープン!」
すると目の前にステータスボードが浮かび上がる。
______
名前
Lv 1
HP:100/100
MP:100/100
龍気:0
筋力:100
耐久:100
器用:100
敏捷:100
知力:100
スキル
コアスキル
・召喚・送喚・スキルガチャ・龍脈回路・インベントリ・功績
______
うーん……なんだか色々おかしい。
まずジョブがないことに若干テンションが下がっている。
ジョブとは「剣士」や「魔術師」などのことで、スキルやステータスに補正がかかる、全人類の60%が獲得していると言われている。
ジョブによる補正がないとスキルのレベルが頭打ちになったり、特定のスキルは取得できない。そのためジョブがない者は探索者として大成することはできないと言われている。
そしてコアスキル、これに関しては一度も聞いたことがない。
1つずつ確認するか……
まずは『召喚』から試してみる。
「召喚!」
気合を入れながらそう口にすると、目の前に光と共に一本の巨大な剣が宙空に出現した。
「うお!?これは……剣?」
現れた剣は大剣やクレイモアと呼ばれる刀身150cmほどの大きな剣だった。そして
球体の中には何かの紋様が刻まれている。
「これは……ドラゴンかな?」
ドラゴンの頭の部分が横向きに描かれている
俺は剣先を下に向けて浮かんでいる大剣の柄を両手で握り、正眼の構え取ってみる。
何度か振ってみても全く重さを感じなかった。まるで体の一部かのように振ることができた。
「いい剣だ。重さをほとんど感じない」
重さを感じないだけで、軽いというわけではなさそう。その証拠に
父さんは大剣使いだった、父さんが活躍していた頃は大剣を使う探索者が爆増したらしい。
次は『送喚』だが、これはおそらくだが剣をしまう機能ではなかろうか?
「送喚!」
そう口にすると、剣は一瞬にしてどこかへ消えた。
その後何度か『召喚』と『送喚』を試してみると、色々わかってきた。
まず、別に「召喚」とわざわざ口に出す必要はないみたいで、イメージすればどの体制でも召喚できた。走りながら手に召喚したりもできるし、『召喚』と『送還』を駆使して、一瞬の内に順手と逆手に持ち替えたりもできた。
かなり使えそうな能力だ。
次はスキルガチャを確認してみる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます