トイレスライムを開発する



 アイテムを売って、帰ってきた俺。

 エルフ奴隷のイージスに暴食王を貸し与えることにした。


 スライムは何でも食べるので、掃除には便利である。


 ふと、尿意を催したので、俺は館のトイレに行く。

 ……そこで【驚愕】の代物があったので、驚きながらも戻ってきた。


 リビングにて。


「なあイージス」

「なんだ?」

「異世界って……トイレどうしてるの?」


 ……さっき館のトイレを見て驚いたのだ。


「くみ取り式だな」

「ああ……やっぱり……」


 くみ取り式の便所がそこにあったのだ!

 穴が開いてあって、そこに入れる感じだ。


 ばあさんよく耐えられてたな……。いや、現実でトイレしてたのかもしれん。


 令和日本のトイレになれている身からしたら、あんなトイレは耐えきれない。


「くみ取ったあとどうしてるんだ?」

「川に流してるな」

「か……!? は……!? 川!?」


 まさかの川にダイレクト!?

 き、汚くないか……?


天導教会てんどうきょうかいのやつらに町長が金を払い、定期的に川を浄化してもらっているからな」

「なに、天導教会てんどうきょうかいって?」

「聖女という、特殊な光の魔法を使う女達のことだ」


 な、なるほど……排泄問題は、魔法で解決してる訳か。

 しかし……浄化の魔法か。


「それって大変じゃないか? いちいち頼んで、浄化してもらうのって」

「ああ。しかしほっとくと臭いがきつい。ゆえに街の人間も教会に金を払わざるを得ない」


 まあそうだ。

 汚いもんな……。しっかしさすが異世界、トイレがまさかくみ取りプラス川に流すなんて……。


「なんとかならんもんか」


 まあトイレなんて現実に帰ってやれば良いとは思うんだが。

 こっちの人、イージスがトイレするときに、面倒だろうから。


「うーん……うん。スライム使ってみるか」


 俺は暴食王をまず分裂させる。

 小さくした暴食王に、俺は【浄化】の魔法を付与した。


 アイテムに魔法を付与する要領で、スライムに魔法をかけることに成功。


「完成。掃除スライム」

「掃除……スライム?」


 俺はイージスとともにトイレへ行く。

 穴の中に、スライムを投げる。


 すると、一瞬でトイレの中のものが、消えた。


「なっ!? ど、どうなっているのだ!?」

「スライムが食って、浄化したんだよ」


 このスライムは何でも食べる。

 しかし体の中に排泄物をため込むと、汚いし伝染病とかの原因になる。


 そこで、あらかじめ付与しておいた浄化魔法で、その都度浄化してもらうってわけだ。


「…………」


 イージスが目を剥いて俺を見てくる。


「え、なに?」

「いや……貴様、これは……世界的な発明だぞ。さっきのゴミを食わせる発想以上に、ものすごい発想……発明だ」

「え、いやいや、こんなの誰でも思いつくだろう? なあ?」


 すごい、イージスさん嫌そうな顔をする。

 はぁ……とため息をつく。


「……ならば貴様の知り合いの商人にでも、このアイディアを売ってみるといい」

「? まあ今度な。今日はもう疲れたし」


 俺のモットーは、働かないで楽な暮らしをする。

 別にこっちで金をあくせく稼がなくても問題ないからな。


 だからま、掃除スライムについては、今度にしておこう。

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