流血刀バーンアウト

飛瀬川吉三郎

第一刃亜種の舟盛りのような情報量①


裏凶地底の闘技場コロシアム、そこに二人の因縁が激突する。


邪瀬魔龍と禊瀬白猿、二人の豪傑、猛者、彼等のために掲揚する言葉は中々、見つからない、何故ならば、彼等はこの世界にとってはあまりに特異点イレギュラーだった。


「………十五年前、21世紀が始まった、俺等は時代の異物か?遺物か?」


邪瀬魔龍のたったそれだけの問答に禊瀬白猿は激昂しかけている。


「………体罰が正解だった時代はとうに終わっているんだぞ………」


しかし、それに邪瀬魔龍はこう答える。


「幼き子供とて、巨神のような覇気を見せる事がある、お前の息子はお前瓜二つだったが、それはそれで、どうだろう、お前は、お前を受け継がせたいか?」


禊瀬白猿は、それにこう返答した。


「…………息子は、女々しかった………それもまた、確かだ」


辛酸を舐めるような表情をした。


それに邪瀬魔龍の答えはただ一つ。


「俺は俺、お前はお前、禊を済ませた者とまだ邪悪極まる俺様、比べる手段は無二の決闘しかない、それがここの場所でしかない、朝鮮人に檮杌とおると言われるここ」


もはや、彼等に言葉は不必要だろう、至上最高の戦闘の一つがまた幕を上げる。


その地上、新宿の古林の喫茶店では緋走が喫茶店のバイトをしていた。


「少しはこの店内だけでもやる気を見せたらどうです?」


と古林に小言を言われたりしている。


それに緋走は顔に帰りたいという文字が書かれているように見えた。


そこに有里希望と荒井喜美が来店した、奇妙な物で彼女達は同郷の同胞というのに限りなく近い、地元最高、それもまた、彼女達の印象を濃くするだろう。


「チッス、リーダー、今度の正邪均衡魔走納刀術オールロックブレードランナーのロックは何重なのが難渋になってるの?」


それに緋走はこう返す。


「今回は十一にしてたが、お前達が来たから十九にしないといけなくなった」


という不可思議なやりとりがされていた。


正確に数えるならば全ての因縁に決着がつくとされる絶体絶命の最終決戦が人知れず行われている、それも正確に言えば、多数の衆目ギャラリーが訪れていた。


モブも沢山来ていた。


日本各地の武芸者達、中国の武闘家達、雷堂文学と彼女の知り合いの不良で格闘技マニア達十数名、世界各国のお金持ちの中でも数奇者達、アメリカの電気王サンダーキングが率いる二郎系を愛好する者達、イギリスの電気の魔法使いエレクトリックウィザードが率いる武闘派魔法使いウィザード達も見物に来ていた、、アフリカのマリの精霊使いの女賢者、黒瀬正鷲の姉、つまり、禊瀬白猿の義理の姉、緋走にとっての伯母さんというのだっていた。


「ここで死に晒せ!!!」


邪瀬魔龍の獰猛で異常で狂気そのものの邪気のオーラがその会場に満ちる。


そして、禊瀬白猿の正気の生気はもはや神々しく、清々しいオーラだった。


「能書きは全ていらない!俺が一番に倒したかったのはてめェだクソ兄貴!!」

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