第4話 お母さんとお風呂
「お母さーん、ただいまー!」
「お帰りスカイ……ってどこか寄り道してたでしょ?」
「えっ、お母さん何で分かったの!? ──ちゃんと川で水洗いして来たのに……。もしかして、どこかにまだ付いて……」
スカイは慌てて自分の服に血が付いていないか確認する。
「体には付いてないわよ」
「え、じゃあ……どうして?」
「服を嗅いでみなさい」
マリアにそう言われたスカイは試しに自分の服を嗅ぐ。
「……うっ!!」
スカイは服に付いた想像を絶する強烈な異臭(ドブのような腐った匂い)により吐きそうになった。
「お母さん……この臭い……ヤバいよ〜」
スカイは強烈な臭いで涙目になった。
「仕方ないわね。お母さんが洗い流して綺麗にしてあげるから、着替えを取ってらっしゃい」
「──ッ!! うん!」
スカイは着替えを急ぎ足で取りに行った。
◆
「……またか」
年配の衛兵が遺体の前でポツリと呟く。
「……はい」
その隣に居る若手の衛兵がそれに答えた。
「今回、残っていたのは女性だけか……」
「この骨は形状的にきっと男のものですね」
「チッチッ、違うな──。男だったものだ」
「そうでしたね」
そんな会話をしていると犯人を見たという二人の衛兵がやって来た。
「「ご苦労さまですっ!!」」
「うむ、ご苦労。して、お前たちは何を見たんだ?」
「実は──」
二人の衛兵は事の詳細を話し始めた。
「──そうか、犯人は人を喰らっていたと……」
若騎士は団長に耳打ちをする。
「団長、やはりこれは──」
「あぁ、これは紅き雫の仕業に間違いないな」
「はい」
「お前たち、犯人がどのような人物だったか覚えているか?」
「申し訳ありません、そこまでは──」
「すみません、動きが速すぎて追えませんでした」
「そうか、それは仕方ない。犯人の姿が分かり次第、連絡を私に頼む」
「「はっ、了解しました!!」」
「後処理は任せた。行くぞ」
「は、はい!」
年配騎士は若騎士を連れて冒険者ギルドへ向かった。
◆
「スカイ、気持ち良い?」
「うん! 気持ち良いっ!!」
マリアとスカイは仲良く親子で入浴の真っ最中だった。
「目を開けちゃダメよ。泡が目に入っちゃうから」
「はーい!」
お母さんの言うことをちゃんと聞けるいい子ちゃんはギュッと力強く目を瞑る。
「頭を洗い流すからちょっと待ってね〜」
「うん」
マリアは桶でお湯を汲み、スカイの頭に付いているシャンプーの泡を洗い流す。
「はーい、目を開けて良いわよ」
スカイはゆっくりと目を開けた。
「わーおっ」
スカイは鏡に映る自分の姿を見て感嘆の声を漏らす。
「どう? 綺麗になったでしょ?」
「うん、スッゴク綺麗になった! ありがとうっ!!」
「どういたしまして。じゃあ、お風呂一緒に入ろっか」
「うんっ!」
スカイはマリアの胸に飛び込み、仲良く一緒に湯船に浸かった。
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