【夫婦恋愛】友泉とたっくん〜ラブシーンはワイン風呂の中で…

佐伯達男

ラブシーンはワイン風呂の中で

時は、10月30日の昼過ぎのことであった。


アタシ・友泉ゆうみ(53歳)は、パートがおやすみであったので電車に乗って松山市駅まで行った。


アタシは、駅の中にあるタカシマヤデパートへショッピングに行った。


この日は、たっくん(ダンナ・30歳)のお誕生日である。


アタシは、たっくんのお誕生日のプレゼントの男性用のおしゃれな香水を買った。


その後、デパ地下へ行って特製のバースデーケーキを買った。


パーティ料理は、家にある食材を使って作ることにした。


たっくんが帰って来るまでに、お誕生日の食卓を作った。


夕方6時頃に食卓が出来上がった。


あとは、たっくんが帰る時を待つだけ…


そんな時に、ZY(フジ)から電話がかかった。


夕方5時から入るパートさんが急病で倒れたので、代わりにパートに入ってほしい…


知らせを受けたアタシは、急きょパートに行くことになった。


たっくんが帰宅したのは、それから30分後であった。


お誕生日のパーティの席が出来上がっていたのに、アタシが家にいなかった。


たっくんの気持ちがものすごく不安定になった。


たっくんは、スマホを取り出してアタシに電話をかけた。


「なんだよ…今日はぼくの誕生日なのに予定変更だなんてあんまりだよ…」

「たっくんごめんね…パートさんが急病で倒れた上に若いパート従業員さんがダダをこねて帰ったので、急きょ入ってとたのまれたのよ…たっくんごめんね…かあさん急ぐから…」


アタシは、たっくんに『ごめんね…』と言うて電話を切った。


その後、持ち場へ戻った。


アタシがパートを終えて帰宅したのは、深夜11時過ぎであった。


アタシが家に帰って来た時、たっくんはベッドで眠っていた。


ベッドのテーブルの上には、アタシが読んでいる『アネキャン』と『ママガール』と『ヴェリー』(ファッション誌)のいずれも8月号(だったかな…)あたりのママ水着の特集ばかりを読んだあとがあった。


たっくん…


またアタシが読んでいるファッション雑誌を読んでいたのね…


…って…


やだ…


おかあさん水着の特集を読んでいたって…


ベッドで眠っているたっくんは、ふとんにもぐった後に涙をたくさん流して泣いていた。


たっくん…


ごめんねたっくん…


友泉ゆうみと一緒にお誕生日の夜を過ごしたかったのね…


ごめんね…


アタシは、心の中でたっくんに繰り返してあやまった。


けれど、たっくんは泣いていたのでどうすることもできなかった。


次の日の朝ごはんの時であった。


スーツ姿のたっくんは、新聞を読みながら朝ごはんを食べていた。


アタシは、たっくんに対して『新聞を読みながらごはんを食べないでよ!!』ときつい声で言うた。


そしたらたっくんは『分かっているよ!!』とアタシに言い返して、新聞をバサっと放った。


そして、黒の手提げカバンを持って家を出た。


アタシは、たっくんにまた八つ当たりしてしまった…


この時、アタシの乳房むねの奥がひどく痛んだ。


そして夜が来た。


たっくんは、残業で帰りが遅くなる…


家の寝室のベッドにいるのは、アタシひとりだけであった。


マゼンタのパジャマ姿のアタシは、ひとりぼっちでベッドに入った。


そして、パジャマの上着のボタンを上から3つ外した。


アタシは、ふくよかな乳房を包んでいるワコールの白のストラップレスのブラジャーの方を見た。


アタシの右の乳房にたっくんがつけたキスマークがくっきりと残っていた…


それを見たアタシは、深いため息をつきながらこう思った。


最後に、たっくんとキスしたのはいつだったかな…


たっくんとの肉体関係が減ったみたい…


友泉ゆうみ


さみしいよぅ〜


ねえたっくん…


友泉ゆうみを抱いてよ…


友泉ゆうみにキスしてよ…


友泉ゆうみのふくよかな乳房に抱きついて甘えてほしい…


ねえたっくん…


そんなことを思うだけでも、アタシは心苦しくなった。


キスだけでもいい…


ふくよかな乳房に甘えるだけでもいいから、抱いてほしい…


それなのに、たっくんは友泉ゆうみを抱いてくれない…


悲しい…


アタシは、たっくんへの思いを日増しに募らせた。


たっくんは、この最近『しんどい…つかれた…』と言うてすぐ寝ることがつづいた。


そうしたフマンが、つもりに積もった末にたっくんとケンカしてしまった。


11月18日の朝方であった。


アタシはたっくんに『たっくんにとっての女のコは誰なのよ!!』ときつい声で言うた。


そしたらたっくんは『いいよもう!!』とアタシにどなりつけた。


その後、たっくんは黒の手提げカバンを持って家を出る前に『今夜も残業だから…』とアタシに冷たく言いはなったあと家から出た。


たっくんから冷たくされたアタシは、ものすごく悲しくなった。


アタシは『あーん…たっくんにきらわれた…たっくんは友泉ゆうみを女のコとして見てくれなくなった…』と声をあげて泣いた。


たっくんにきらわれたアタシは、ひとりぼっちで遠くへ行くことにした。


この日と翌日のパートはお休みであった。


アタシは、赤茶色のバッグを持って遠出した。


アタシは、いよてつ横河原線の電車を乗り継いで横河原駅(東温市)まで行った。


そこから新居浜行きの特急バスに乗って、西条市の済生会病院前のバス停まで行った。


赤茶色のバッグを持ってバスを降りたアタシは、臨海地区にある公園へ向かって歩いた。


公園に着いたアタシは、ベンチにこしかけた。


ベンチにこしかけたアタシは、ぼんやりした表情で公園の風景をながめた。


アタシが座っているベンチから300メートル離れた場所に高校生カップルがいた。


お昼に食べるつもりであったお弁当を食べながら楽しそうにお話しをしていた。


そんなほほえましい光景を見たアタシは、たっくんを傷つけたことを思い出したので、ますます悲しくなった。


たっくんにとっての女のコはアタシじゃないの…


もしかしたら…


たっくんは、むかし好きだった女のコへの思いが残っているのかな…


ねえたっくん…


お願い…


たっくん…


友泉ゆうみを女のコとして見てほしいの…


友泉ゆうみは…


50を過ぎても、恋する女のコよ…


たっくん…


ねえたっくん…


「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」


アタシは、両手で顔を隠した状態でくすんくすんと泣いた。


その日の夜は、ロッキー(パチンコ店)の裏手にある小さなラブホに泊まることにした。


部屋に入ったアタシは、ベッドのテーブルの上に赤茶色のバッグを置いた。


その後、着ていたグレーのカーディガンとクリーム色のスカートを脱いでベッドに入った。


ベッドに入ったアタシは、夢を見ていた。


シーンは、暗闇の森林に変わった。


空にどす黒い積乱雲がもくもくとあがっていた。


不気味な風が吹いていた…


アタシは、森林の中で迷子になってしまった…


やだ…


何なの…


もしかしたら…


友泉ゆうみ


レイプ魔に追われているかもしれない…


怖い…


大パニックにおちいったアタシは、途中で転倒した。


その時であった。


アタシは、恐ろしい魔物の声を聞いた。


「ウヘヘヘへへへへへへへへへへへへ〜…友泉ゆうみ友泉ゆうみ…聞こえているか…ワシは…闇夜の王さまだ…お前はどうしてたっくんを傷つけた〜」


やだ…


怖いよ…


怖いよ…


「わたしのかわいい小魔物たちよ…たっくんを傷つけた友泉ゆうみに襲いかかれ!!」


アタシは、7〜8体のゾンビに取り囲まれてしまった。


ゾンビたちは、ものすごく不気味な声でアタシに言うた。


友泉ゆうみ…」

友泉ゆうみ…」

友泉ゆうみ…」

「たっくんを傷つけた悪い女は、ゾンビの国へ連れて行くぞ!!」


やだ…


怖いよ…


たっくん…


助けて…


「イヤァァァァァ!!」


ゾンビに襲われそうになったアタシは、思わず叫び声をあげた。


その時にアタシは目が覚めた。


ああ…


怖かった…


アタシ…


ゾンビの国へ連れて行かれるところだった…


怖い…


ものすごくこわい夢を見たアタシは、たっくんに会いたくなった。


アタシは、バッグの中からスマホを取り出して電話をかけた。


「たっくん…友泉ゆうみよ…たっくん…今…どうしているの…たっくん…たっくん…ごめんね…たっくんを傷つけてごめんね…友泉ゆうみ…悲しい…たっくんがいないので…友泉ゆうみ…悲しい…たっくん…ごめんね…たっくん…友泉ゆうみは…たっくんが好きなの…たっくん…たっくんは…もしかしたら…むかし好きだった女のコへのまだ思いが残っているの?…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」


アタシは、途中でくすんくすんと泣き出した。


それでもアタシは、たっくんに今の気持ちを伝えた。


友泉ゆうみ…たっくんに抱かれた…友泉ゆうみ…たっくんにキスしてほしい…友泉ゆうみの…ふくよかな乳房にキスしてほしい…」


電話口の向こうのたっくんは、アタシに『ぼくは…女のコはかあさんしかいないのだよ…』と優しく言うた。


うれしくなったアタシは、涙をたくさん流した。


うれしい…


うれしいわ…


たっくん…


友泉ゆうみ


うれしいの…


「たっくん…友泉ゆうみ…たっくん…大好きよ…たっくん…これからも…ひとりの女のコとして…友泉ゆうみを愛して…友泉ゆうみは…50を過ぎても…恋する女のコでいるから…あのね…アタシ…ひとりぼっちでラブホにいるの…玉津のロッキーの裏手にある小さなラブホにいるの…明日…迎えに来てほしいの…待っているわ…」


次の日の朝の9時過ぎであった。


たっくんは、ロッキーの裏手にある小さなラブホにやって来た。


「かあさん…」

「たっくん…」


うれしくなったアタシは、たっくんの元へかけて行った。


そして、たっくんの胸に飛び込んだ。


「たっくん…たっくん…友泉ゆうみ…たっくんに会いたかった…友泉ゆうみ…さみしかった…」


たっくんの胸に飛び込んだアタシは、震える声で泣いた。


たっくんは、アタシが着ている白のブラウスの間から見えているふくよかな乳房に優しくキスした。


アタシは、涙をたくさんこぼして泣いた。


この日は、年に1度のボージョレヌーヴォの解禁日であった。


ホテルでは、ワイン風呂のサービスがあった。


たっくんとアタシは、ラブボの部屋でおうちデートを楽しむことにした。


たっくんとアタシがいるラブホの部屋にて…


たっくんは、浴室でワイン風呂の準備をしていた。


白のブラウスとクリーム色のスカートを着ているアタシは、お風呂の準備ができるのを待っていた。


それから10分後に、ワイン風呂の準備ができあがった。


たっくんは、アタシを浴室に呼んだ。


たっくんに呼ばれたアタシは、浴室に入った。


しかし、たっくんがいなかった。


ねえたっくん…


どこにいるの?


その時であった。


腰にタオルを巻いている姿のたっくんがアタシの背中をギュッと抱きしめました。


アタシは、思わずびっくりした。


「かあさん…」

「きゃっ…たっくん…」

「今日は、ボージョレヌーヴォの解禁日だよ…一緒にワイン風呂に入ろうね。」

「たっくん…」


たっくんは、白のブラウスとクリーム色のスカートを着たままのアタシをワイン風呂に入れた。


たっくんは、オオカミのような表情でアタシをきつく抱きしめた。


そして、髪の毛をくしゃくしゃに乱しながら激しいキスをした。


アタシが着ているブラウスとスカートは、ワインでぐっしょりと濡れた。


たっくんは、ワインでぐっしょりと濡れたブラウスのボタンを外しながら、激しいキスを繰り返した。


「たっくん…たっくん…衣服がワインでベトベト…」

「かあさん…」

「たっくん…かあさんの衣服がワインでベトベトよ…」

「そんなことよりも…かあさんを抱きたい…」

「やだ…」

「かあさんを抱きたい…」

「やだ…友泉ゆうみ…シャワーを浴びていないの…」

「シャワーはいいよ…」

「やだ…シャワー浴びたい…」

「シャワーはいいよ…」

「やだ…恥ずかしいの…あっ…」


たっくんは、アタシの身体を弱らせたあとショーツを脱がした。


その後、再びアタシの身体を押さえつけた。


ワイン風呂の中でたっくんに押さえつけられたアタシは、甘い吐息をもらしていた。


【おしまい】

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