僕の隣は君がいい

颯風 こゆき

第1話 プロローグ

雨が降りしきる中、喪服姿の男はフラフラと歩く。

先輩が死んだ・・・・

昨日までは元気だったのに・・・自殺とかありえない・・・

空を仰ぎながら問いかける。

先輩、どうして僕に酷い仕打ちばかりするんですか?

僕では無いあの人と一緒に自殺なんて、嘘ですよね?

僕はあの人を紹介された時も辛かったのに、やっと諦めなきゃと思えてきたのに、先輩の幸せを願いたかったのに、いなくなったら諦める事も幸せも願えない・・・どうして・・・

返事の無い問いかけの虚しさが、より一層涙を誘う。

項垂れたまま、男はまた歩き始める。

僕もこのまま死にたい・・・苦しい思いを抱えて生きていく位ならいっそ・・・



ピピピピッ・・・・

携帯のアラームが鳴り響く。

ベットから手を伸ばし、アラームを止めるとゆっくりと体を起こす。

あぁ・・・家に帰ってきて、濡れたまま泣き疲れて寝てしまったっけ・・・?

着替えないとベットが濡れてしまう・・・

そう思いながら、布団を剥がすと見覚えのある部屋着に目が止まる。

あれ?僕、着替えて寝たっけ?それに、この服とこの部屋・・・

「おい、智!いい加減起きろ!」

荒々しくドアを開け放つ懐かしい顔。

「えっ・・・龍?」

「早くしないと1限遅れるぞ」

そう言い残すと部屋を出ていく。

「何で、龍がいるの?ここは・・・」

辺りを見回すと見覚えのある家具が揃えられた懐かしい部屋。

智は慌てて携帯を手に取ると、日付を確認する。

「嘘だ・・・」

表示されている西暦と日付を見て、智は呟く。

5年前の日付・・・この部屋は大学の時に住んでた部屋・・・何がどうなってるの・・・?

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