最強の戦士、最弱になる

手羽先でばて

第1話 プロローグ 小さい頃の私(回想)

【―――――世の中は残酷なほど、面白い―――――??=??】


現代における最強戦士、クロティルド=スカラフィヌは孤独、いやソロプレイヤーだった。

元々剣を振ること自体好きではなかったが

病弱な父と2歳の妹を養う為この世界に存在する大きな穴-ダンジョン-にてモンスターと対峙していた。

「ふぅ、これで今日のノルマは達成ですね。」

付近に居たゴブリンを倒し、アイテムを拾った後換金所に向かった。

「お疲れ様でした。こちらが今日の分です。」

「やった、150フラリル…昨日より30は高いです…」

そう言ったのは十二歳の頃のクロティルドだった。




「ま、今日はこんなもんですね」

970フラリルを袋にしまい家に帰った。

「ただいま帰りましたー」

「クロ姉おかえり!」

「クロ、帰ったか」

帰りを出迎えたのは妹のシロディアーヌと父のファブリスだ。

「はい、今日の夜ご飯はどうします?」

「んーとね、お肉!」

「分かったわ父さんもそれでいい?」

「食べられれば何でもいい…」

「そーゆーこと言わないの」

「じゃあ買ってきますね」

そう言って肉屋と野菜屋に向かった。

お肉、お肉ねぇ、今日はボア肉にしましょうか。ボア肉のストーにしたらシロも喜ぶわ。

「340フラリルになります」

ボア肉を買い、その後一緒に煮込む野菜を買って帰った。

「クロ姉は今日どんなモンスターを倒したの?」

「ちょっと大きめのサラマンダーとかグバラシオスとか他にも色々よ」

「へぇー!強かった?」

「昔の私なら厳しいかもしれないけど、もうあの頃から五年も経ってるし丁度良い強さくらいよ」

「クロ姉って凄いんだね!」

「ありがとう。でもね、お母さんの方がもっと凄かったのよ」

「私ももっと大きくなったらクロ姉みたいになりたいな!」

「ふふっ、もっと大きくなったらね」

夕食の時にはいつもの様に妹と楽しく話していた。

そんな毎日を過ごし、月日は流れていく。

だがある時ダンジョン外へモンスターが出てくる怪事件が起きたのである。

何者かの仕業なのか、何かの偶然か、それは分からない。

この時、クロティルドは孤独になったのである。

「なんで…!なんでこうなるのよ!シロ、父さん、、大きくなったら私みたいになりたいって…お母さんの分まで生きてやるんだって、言ってたのに…」

怒りや悲しみが入り混じった感情が溢れていった。

こうなったのは私だけじゃない。

また同じことが起きるのかもしれない。

それならば、どうするか、

そう考えれば答えはひとつだった。

「私は、お母さんよりも強くなって皆を守れるようになる!」

そう心に、母に父に、シロに、誓った。




(あの頃は今みたいにこんな弱くなるってことなんて想像していなかったでしょう、ね…

誓ったんだもの…

頑張りましょう。ね、ナタリワ?)

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