発覚

 光る糸を追いかけて行くと、丁度2人がお店から出て来た所に出くわした。


 レナードと話をしていた間に沢山のお店を回ったのか、2人の手には沢山の紙袋が下げられている。


 勢い余って鉢合わせそうになったのを、すんでの所で路地裏に飛び込んだ。


 紙袋を多めに手に持っているダレンは、どこかほくほくとした顔をしている。


「さっきの服買わなくて良かったの? とっても似合ってたのに」


「うーん、ウエストのサイズはピッタリだったんだけど、丈が私には少し短くて。他の人に比べて身長が高いから、中々丁度いい服に出会えないんだよね」


「俺よりも高いもんね。俺が隣を歩くと周りから不釣り合いに見えてるんじゃないかと思って、少し申し訳なく思っちゃうよ」


 ダレンは申し訳なさそうに笑う。


「そう? 大体の人はみんな私より低いか同じかだから、なんとも思わないけど。それに私が誰を連れてようが私の勝手でしょ」


「そうだよね」


 ダレンは少し顔を下げ、嬉しそうに笑う。





 待ち合わせ場所だった噴水広場まで戻ってくると、ナタリーはダレンの方へと振り返る。


 陽が沈みだした辺りには、オレンジ色の光が差していた。


「じゃあ、私そろそろ帰る時間だから。完全に私の好みで服選んじゃったけど、結構似合ってたから、これで大丈夫だと思うよ」


 そう言うと、ナタリーは手に持っていた紙袋をダレンの方へと差し出す。


 ダレンは紙袋を受け取ると、何かを迷うように視線を左右に振り、息を吸って言葉を発した。


「よ、良かったらさ、この後僕の家に来ない?」


「は?」


 ナタリーは首を傾げる。


 


ダレンの言葉に、話を聞いていたアーロンは驚き、口をパクパクとしている。


 アーロンが勢い余って飛び出したりしないか見張っていた時、自分たちのすぐ近くから囁き声が聞こえる事にロボは気が付いた。




 ダレンはハッとしたような顔をして、慌てて訂正する。


「あ! いや違くて、今日選んだ服を着ているところを見て欲しくて。全部着てみないと似合ってるかいまいちわかんないし、この辺りだと着替えるところないなと思って」


「ああ、なるほど」


 ナタリーは考えるように顔をして、胸元のネックレスをチラリと見た。


 「ごめん、今日はもう帰らなきゃいけないから。今度またお店に来るときにでも着て来てよ。告白の成果報告でもいいしさ」


 そう言ってその場を去ろうとした時、ナタリーは何かに気が付いたような顔をして突然その場に蹲った。


 突然の事に、ダレンは驚きオロオロとしだす。


「ど、どうしたの?」


 そう言って蹲るナタリーの側に座り込み顔を覗き込もうとした時、ダレンの身体をナタリーが押しのけた。


「大丈夫だから、今は近づかないで」


 胸元を手で抑え込み、顎下まで伸びる髪を垂らして顔を覆うナタリーの表情は読み取れない。


 異変に気付いたアーロンが立ちあがった時、高い鈴の音が聞こえた。


 慌てた様子でアーロンは懐から何かを取り出した。


 手の平には指でつまめる程の小さい鈴がフルフルと震えている。


 ふとナタリーの方を向いた時、ナタリー達は音の出所であるロボとアーロンの方を見ていた。


 ナタリーの手にもアーロンの持つ物と同じ鈴が握られ、震えていた。



 髪の隙間から除くナタリーの目は、驚きの目をしているように見える。

 アーロンは取り繕うように、取り敢えず笑って見せた。

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