お ま け

第58話 天下†夢想の公爵令嬢 ①

 クッキー達も無事に学園を卒業してからのことです。


「もうイヤァー ! 毎日毎日、領地経営の勉強ばかりでウンザリだわ ! 」


 クッキーが、たまらずに叫んでいました。


「そうは言っても、クッキーがウイスキー公爵家の代理領主なんだから仕方ないだろう 」


 テリーが、そう諭しますが……


「そりゃそうだろうけど、わたしは旅がしたいの !

 テリーだって、吟遊詩人に成って旅をする予定だったんでしょう !

 わたしに構わず行けばよかったのに ! 」


 よく言うよ !

 泣きそうな顔をして別れようとするクッキーを見捨てて行けるわけが無いだろうに !


 テリーの気持ちを知ってか知らずか、クッキーは続いて、


「おじいさまが具合が悪いから仕方ないんだけどさ~。

 一応、跡取りのアクセルが居るんだから、わたしが勉強しなくてもいいと思うんだぁ~」


 クッキーのワガママにテリーは頭を抱えてしまいました。


 アクセルは、まだ5歳だろう !

 5歳の子供に押し付けるなよ !

 今は帝都から派遣されたペンジャミンさんが居るからいいけど、いつまでもお願いする訳には行かないだろう。


「クッキー、少し早いけど勉強を終わりにして休もうか。

 続きは、明日にしてからで良いから……って、何を考えているんだ、クッキー ! 」


 クッキーは、窓を開け放して逃亡の準備をしていたのでした。


「何って、脱走するんだよ !

 大丈夫、テリーの分の荷造りもしてあるから大丈夫だよ。

 思い出すなぁ~、孤児院時代もよく脱走したものだよ…………直ぐにシエスタに捕まったけど、ここにはシエスタが居ないから絶好のチャンスだよ、テリー! 」


 テリーはため息を吐きながら、惚れた弱味かと気を取り直して、


「それで、何処かに行く予定はあるのか ?

 路銀ろぎんの宛てはあるのか、クッキー 」


 胸を張りながら応えるクッキー。

 シエスタが聞いていたなら、大変なことになるようなことを言い放った。


「共和国……ダイヤモンド王国に行きましょう。

 路銀は吟遊詩人をやりながら稼げば良いじゃない。

 演目は『ダイヤモンドプリンセス……シエスタ=カルアミルクの成り上がり 』よ !

 絶対に大衆にウケるわよ ! 」


 そう言い放ち出て行こうとするクッキーを追いかけるテリーも満更 悪い気がしない辺り似た者同士なのはうたがいようもなかった。






 ※作者より


 リクエストがあったので、『おまけ』を少し載せることにしました。


 楽しんで貰えると嬉しいです。

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