私をWeb小説のモブですか、いい度胸です。

るしあん @猫部

本編

第1話 始まってしまいました。


「平民の癖に私に逆らうと言うの、クッキー=ペパーミント !」


 イライザが、またクッキーのことをイジメています。

 いじめられているクッキーは、イライザの友達 兼 専属メイド候補として孤児院からバーボン伯爵家に引き取られた孤児な訳ですが……


 私、シエスタ=カルアミルクの隣では、狼狽えているアンポンタン令息 アルフォンス=バーボンが居ます。


「大丈夫、僕は君に意地悪なんてしないから」


 なんて、カッコ良いセリフを言っているつもりでしょうけど、手足が震えていますよ。


「はい、アルフォンス様が 意地悪をしない事は判っています。

 只、彼女 クッキーは私の孤児院時代からの友達だから心配です」


 可愛い演技をしながら言うと、意を決して、


「いい加減、止めた方が良いよ、イライザ !」


「あら、お兄様は わたくしよりこの平民の味方をなさるんですの ? 」


 イライザがイライラしながらアルフォンス様をにらんでいますね。

 自分の妹に脅えてどうするんでしょうか、このヘタレは。

 だけど、私に良い処を見せようと努力する姿は評価しても良いでしょう。


 元々は、イライザにお茶を入れようとしたクッキーにイライザが意地悪をして、わざとお茶菓子をこぼしたのを、クッキーのせいにした事が始まりなのです。


 そう、このまま行くと このアンポンタン兄妹は破滅するのです。



 何故、私が未来を知っているのか と云うと……


 訓練中に頭を打って前世とらやらの記憶を思い出したのです。

 どうやら、異世界転生と云う奴のようですが、テンプレ過ぎて笑ってしまいます。

 それも、Web小説の底辺作者の物語のようですね。

 神だか女神だか知りませんが、会ったら全力で殴ることにしましょう !


 それよりも、何とかしないと アンポンタン令息に巻き込まれて私も破滅してしまいます。

 アンポンタン令息は、どうでも良いのですが、私だけは何としても生き延びて幸せに成らねば成りません !


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