無有恐怖(ムーウークーフ) トロピカル因習アイランド篇 トロピカル因習数学者 vs. 寺生まれ

水山天気

引用文

1. トロピカル


 There is no deeper meaning in the adjective "tropical". It simply stands for the French view of Brazil.


    ――David Speyer / Bernd Sturmfels『Tropical Mathematics』より


2. 因習


 大隅おおすみ薩摩さつま両国の風俗、たがう事なし。これもみな死を以ておもてとし、ただ男子は死するを道とすと覚えて、五常ごじょうの道と云うこと、一段ほかの事と覚え、仏法といえば、死して後の穿鑿せんさくにして、生死しょうじを知るべき為となれば、用うるに足らずと自見して遠ざかり、(中略)。武士の戦場において死するも、忠義にって死する所のせつを以て善とする工夫なく、唯武士は戦場に於て死を致す者とのみ覚えて死するは論ずべきようなし。


    ――著者不明『人国記』より


3. アイランド


 だが、ここまで煮つまった南洋憧憬は、レジャー産業を介して、実際の太平洋諸島をイメージ改造してしまう道をも開いた。火山島が多い南洋諸島の黒い海岸を白いサンゴ砂といれ替え、世界の熱帯地から運びいれた無数の熱帯花で島々を覆ったのも、レジャー産業であった。


    ――荒俣宏『南方に死す』より

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