田代 血塗騎士を殺した少年

ポピヨン村田

こんばんはリク

 田代 血塗騎士の命は0時をもって途絶える。


 しんと静まり帰った部屋には田代 血塗騎士の荒い息遣い以外は聞こえなかった。


 月と星がにぎやかに瞬くこの地域は照明を落とした田代 血塗騎士の部屋にも光を届けるが、何よりも強烈な輝きはパソコンのディスプレイから放たれる人工のそれと、


 田代 血塗騎士の持つ一振りのナイフのきらめきだった。


 田代 血塗騎士は、画面をなぞるように文字を読み進める。


『先週のオフ会はどうもありがとうございました! ていうか今月もう何回集まりましたっけw またお父さんも一緒にご参加おまちしてまーす!』


 そのメールが田代 血塗騎士の交わす最期の交流になるなどと、このギルドマスターは知る由もないだろう。


 腕時計を見やって時刻を確認する。


 23:30


 頃合いだと判断した田代 血塗騎士は、自室を出、階段を降り、洗面所へと向かった。


 洗面台の鏡には髪が肩までかかった少年の姿が映し出されている。


 田代 血塗騎士は、おもむろに鏡の中の少年に手に持ったナイフを見せた。


 そして、ただの果物ナイフを、まるで騎士が振るう剣のごとく構えた。


 そして、田代 血塗騎士の最期の言葉が発せられる。


「まるで、本物のリクのみたいだな」


 それは、田代 血塗騎士の人生を締めくくる言葉であり――。


 田代 血塗騎士の人生の幕開けとなる言葉であった。

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