MISSION:117 出撃
アッ!?
もう1個カナシイ現実に気付いた。
≪ひょっとして僕が服になったあとにさ、法陣術で風を撒き散らしてたらお高いアイテムを作らなくても良かったのでは≫
「「「……」」」
一瞬間が開いたけど、そんなことはないっていう結果が発表された。
勝訴!
「ニセポーちゃん、倒す必要、あるする」
「焦らせんといてえやあ」
「そういえば慣れるためには、実戦形式で練習しておいたほうが良いかもしれませぬな」
≪電撃が身体の近くを走る予定だもんねえ≫
じゃあさっそくやっちゃおう、ってことで僕以外に+4リングを渡しに来た生ワワンパァ。なんか奥でゴソゴソやってると思ったら、フーちゃんの分も指輪作ってたのか。
「私? ない、
「「付けときゃあ余分な防御を気にせんで
「分かるした。ありがとする、パァちゃん」
まずはただ接触させて、どんな風に発動するのかをチェックしてみる。するとパパっと光が閃きながら、雷が四方八方に伸びた。
チェーンしてるね、チェーンコンボ!
飛び散ってる僕を、ついでに倒してるよ。
「「こりゃあ予想外じゃったけど、
≪問題は戦闘に閃光の影響がどれくらい出るかだね≫
「ルーちゃん、影響、1番強いなるする」
「光るのは慣れてるでありますけど、自分の意志ですからなあ」
≪とりあえず大量の僕と戦闘してみよう≫
ザワッとした感じが、最初に感じたのよりも強くなってきてるし。今のうちに思い付く、できることは全部試しておいたほうがいいよね。
新装備の指輪は、魔力を装備者から供給するように設計されてる。なのでその影響も調べないと。
≪遠慮なくカモーン≫
<オッケー、フェイカー隊スクランブル!>
とか言いながらミサイルを撃って来る
『ん、火の精霊さん、風の精霊さん。力を貸してくんろー』
≪FOX2!≫「雷撃弾じゃ!」
迎撃するために弾幕を張る。僕同士なら喰らい合うことになるけど、フーちゃんは炎の嵐、ワワンパァは雷撃弾で仕留めるつもりみたい。
ルァッコルォはアフターバーナーを吹かして詰め寄っていく。
「風遁、かすみのししむら」
バフを1段掛けてアルカンシェルで鋭角に空中機動を変えてるね。武器は雷撃付与の付いたダガーだ。
≪動きが派手だから、どうしてもルァッコルォを見ちゃうなあ≫
「分かるする」
なんて言いながらも、フーちゃんの炎の嵐が縦横無尽にミサイルを飲み込んでいってるよ。ただミサイルの僕に喰われちゃってるようで残機も回復してるね。
「さすがにルーちゃんの武技でも、ポーちゃんを仕留めるんは難しいみたいじゃ」
観戦してた生ワワンパァが呟く。
カミナリバリアが何度も発動してるしなあ。
ルァッコルォが雷神様になってるじゃん。
「「うわっ!? ビックリしたあ」」
いきなりワワンパァドールの指輪が発動。ルァッコルォを見てて、予想してないタイミングだったみたい。
フーちゃんも2人のワワンパァもびっくりしてた。
「粒子、飛び散り、予想以上する」
≪僕のだから分かってたけど、ニセモノのは感知できるかなあ≫
「「練習が必要じゃね」」
「それがしは大丈夫そうです」
粒子は駆除可能。でも塊で試してみたら、30秒くらいで突破できちゃったな。まあ30秒も掛かるんだったら、突破される前にカバーできるでしょう。
「「取り付かれる可能性が高いんは、ウチだけじゃし」」
≪マジックハンドがいい動きしてたし、大丈夫そうだったよ≫
「守るする~。パァちゃん、切り札っ!」
「イラフティーバはポーちゃんも防げませぬからな!」
≪そそっ。たっぷりチャージしておいてもらわないとね≫
振り返ってみると、ワワンパァのガトリングガンは結構有効的だった。連射できるし雷撃弾に触れた僕はやられるし。弾丸は飛んで行くので食べてる暇もないっていう効果付き。
「ではそれがしもガトリングガンを装備していくことにしましょう」
≪役割を分けてもいい気がするけど≫
フーちゃんは邪人。
ルァッコルォが銀コケシ。
ワワンパァがニセモノ。
戦力は集中させるのが鉄則って思いはするものの、攻撃の有効性というかさ。下手に魔法で僕を攻撃したら増えちゃうしねえ。
まったく、なんて節操のない身体なんだー。
コケシの接近戦に対処可能なのはルァッコルォだけだし、邪人なら接近される前にフーちゃんが処理できそう。ワワンパァのイラフティーバだけが、完全にニセモノを消滅させることができるしさ。
≪僕は残機の量でみんなをサポートできる≫
「了解であります!」
「邪人、まかちょけする」
「「ウチもその作戦で
想定したパターンで練習を繰り返すことになったけど、コケシと邪人役はルァッコルォになった。だって接近戦が強いのルァッコルォだし。何回か試したけど、しっくりはこないなあ。やっぱ、ムリがあるね。
なのでエルフの戦士団に練習相手をお願いすることにした。ネーネさんに相談したら、セレノの森のモラレスさんのチームを派遣してくれることになったよ。地面からニョキッと生えて、チュルンと帰る人。
ついでに僕らが出撃したあと、ワワンパァダンジョンの守りにもなってくれるってさ。僕とヤミちゃん以外に、強い人がいてくれるのはありがたい。僕とヤミちゃんは接近戦というより、広範囲の守りとか破壊力とかだしね。
数日練習をして、突然の雷発動に慣れる訓練をしたよ。これで僕らの準備は整ったんじゃないかと思う。あとはユッグベインの動き次第ってところかな。でも探索チームの僕からは、まだ発見の知らせは来てないんだよね。
悪事を働いてくれないと居場所が分かんないとか、マジ厄介。
だけどそんな悪者の悪事待ちみたいな状況は唐突に終わった。
みんなはいつも通りだから、僕だけがこの気配に気付いてる。つまりこれはニセモノの気配ってことだ。
≪ザワザワが急激に強まった……ニセモノが起動したっぽいよ!≫
僕は地図になって場所を示す。
鉱山が枯れて、小さな漁村が少し残ってる程度の島。今はただ、離島と呼ばれてる島に僕はいるみたいだ。
「行くするー」
「「フーちゃんがいっつもと同じでウチぁ安心するわ」」
「平常心は大事でありますからな」
≪じゃあいつものように、ネーネさんと王様たちに報告しておくよ≫
高すぎてマジックアイテムの準備ができないから、囮部隊の人たちは未参加。僕の粒子はアブナイから。なので各都市の警戒をしてもらうことになった。
ネーネさんは僕らが到着したときに、コッチから連絡を入れて上空待機してもらうよ。敵を漏らしたらマズイもんね。
≪なにをするつもりか分かんないけど、アイツらの考えてることだから絶対ろくでもないよなあ≫
「「じゃね。準備万端で仕掛ける前とかじゃったら、面倒なことになりそう」」
「できることなら態勢が整う前に仕留めたいところですな」
「私たち、準備整うするしてる」
ワワンパァは面倒とか言いながらも、ダンジョンでニセモノの僕を作ってると予想してるので、儲かる未来を見てる目をしてる。ルァッコルォも釣られて目がお金マークになってる感じがするなあ。
コッチはコッチで仕留めたるんじゃーって感じの、決意新たなフーちゃん。
鼻息が荒いね。
「できるならする、強い願うするー」
3本角以上の邪人を倒したなら、ユッグベインも大打撃を受けるってさ。でもニセモノの残機次第だとは思うけどさ、かなり邪魔になると思うよ。なるべく僕が押さえておくけどね。
念のために大型旅客機2機分は用意してあるのだ!
数で圧倒する。
それもまた正義であーる。
≪ご飯良し、オヤツ良し、ワワンパァとルァッコルォの武装も積み込み良し!≫
「「ウチも装備完了じゃし、エネルギー充填もバッチリじゃ」」
「それがしは心の片隅に戦場を置いてるので、いつでも準備万端であります」
「ンッ。パァちゃん、行って来ますするー!」
「行ってらっしゃい!」
ワワンパァの「カッコエエほうの出口から行こうや」っていうアイデアで、山の斜面に作った秘密の出撃口から出ることに。
頭は冷静に。
でも心は熱血だね。
<こちら
「まかちょけぇする~」
≪ラジャーって言って欲しかった~≫
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次回≪MISSION:118 性悪≫に、ヘッドオン!
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