MISSION:90 出発
≪ヤバイことに気付いたんだけど!≫
寝たから頭が整理されたんだと思う。邪人の身体に入れられなくてセーフ。とかそう思ったんだったら、ソコで気付けよなー、僕ぅ。
朝ご飯のフライドチキンに、わぁい! って食いついた時にピーンって来たよ。なんなのそのタイミング。
≪邪人が人口精霊を作ったってことに≫
固まる一同。
≪しかも魂を大量に1個体に詰め込む技術も使われてる≫
銀コケシと邪人のコラボ案件で、僕は作られてるって気付いた。
「ポーちゃん、ダイジョブある?」
「「頭オカシイなっちょらん?」」
≪平気だね。性格もそんなに変わってないと思う。異世界が楽しいから、色々と積極的になってるとは思うけど≫
特におかしくなってる感じはないんだよね。違和感があるとしたら……カナシイけどぉ、女の子とぉ、こんなに自然にぃ、話せてること……かな……。
カナシイ事実ッ。キョ、キョドるほどじゃなかったよ! いや、マジで。マジで!
「もしかして
「「異世界から魂を呼んだんか? 邪人が?」」
「分かる……ない」
≪ゴエモンに聞いてみる。先輩稀人だし。あと連絡用の僕を持ってる人にも伝えておくべきだね、このことは≫
ゴエモン的には神様の領域だろうから、邪人が異世界から魂を呼ぶのは無理じゃないかって返信が来た。ただ、魂は保護されているか、強さは上がると思うってさ。
ゴエモンは繰り返し転生してる。だけど精神が壊れるということには、なってないからだって。
この世界は基本長寿だからなあ。マナとかオーラの力が、働いてるのかもしれないよね。不思議ちからバンザイ。
「邪人ごときにはムリですよ!」
「「稀人言うくらいじゃもんね」」
≪そういえば異世界召喚とかないの? 召喚勇者物語とか結構人気だったけど≫
「聞く、ないあるするー」
ないあるかあ。まあそのほうがいいか。悪い王様に騙されて、鬱陶しい召喚勇者が絡んできたらイヤだしね。平和が1番だ。
「「そういやあゴエモン様はレア度★2じゃった。凄いレアそうなんじゃけどねえ」」
「★4ある、しそうする、のに、ね?」
「なんでありますか? それ」
「「単純なレア度チェックなんよ。ダンジョンマスターになんでこんな能力があるんかは、ウチもよう分からん」」
ちなみにルァッコルォは★なしです。
「ルーちゃん、仲間ある」
「なにやらカナシイ結果ですな。ね? フーちゃん……」
「うん」
「「でもゴエモン様はチョット可哀想な感じじゃ。稀人は
≪それは自分で選んだヤツっぽいし、後悔はないみたいだよ≫
奥さん美人だったしね。ウラヤマシーナー。稀人は異世界転生しやすい体質とかだったら、ハズレ異世界に稀っちゃう可能性も否定できないとか思った。文明のない異世界に転生とかしたら、ヒドイ目に合いそうだよ。
この世界は文明もあるし、魔法もあるし、ロマン種族もいっぱいいるからね。とても
「「フーちゃんの準備もできたけえ行こうやぁ」」
「おー!」「ウゥ」
≪フーちゃん、諦めて≫
「ウウゥゥ」
唸っておられる。身支度もワワンパァx2+ルァッコルォの3人体制で、着替えさせられてたし。
そんなに退屈なところなのかなあ?
≪最初は嫌がってなかったのにね?≫
「退屈、思い出すした」
「とは言っても、行かなくてはなりませんので」
「「そうそう。諦めんさい」」
自分のほっぺをペンペンして、気合を入れなおすフーちゃん。
「ンッ。行くする。早く行く。早く終わるさせる。早く戻るする」
「「フーちゃんがせっかちムーブを推奨しちょるがぁ」」
「少しは観光したいでありますよ」
「お酒、お風呂、絶望する。絶対」
なんか悪い笑みを浮かべてるし。グイッと精霊ちからで僕たちを掴んで、いきなり出発するフーちゃん。
「行ってくるするー」
「アハハ、分かった。待っちょるよー」
生ワワンパァに挨拶して、いざ世界樹の森へ! 今回の旅は、戦闘メインにはなりそうにないし、距離もあるので残機はほとんど残していくよ。フーちゃんが運んで早く済ませたいみたい。いつもみたいな旅客機2機+普通乗用車サイズ4機、なんて量は不要だろうし。海で狩りでもしてもらおう。
海中探査はワンチャンあるし。
無理なく運べる量ってことで、小型トラックくらいになった。2tトラックが無理なく運べるってのが驚きなんだけど。
思い浮かべて欲しい。荷物の配送でコンビニの前にいるトラックを、幼女が無理なく運んじゃう光景。
鼻からコーラを噴射して、飛んじゃうくらいの衝撃はあるね。
「ポーちゃん、よいしょ、言うない重さ、あるする」
「魔法使いの力は凄いでありますな!」
「フーちゃんは接近戦も強いけえ規格外じゃあ」
「フフーン、修練、賜物ぉ~」
気合を入れなくても2tくらいならオッケー。
つまりだよ?
えいって気合を入れられて、キンタマ叩かれた東大陸の宰相閣下は──とてもお強いということですな。
潰さない優しみが、半分入ってるのだろうか?
≪ところでさ、なんでハヤテはそんなに興奮してるの?≫
なんかインコみたいな動きもするんだねえ。ヘッドバンキングのあとに、スイーって斜めに伸びるヤツを繰り返してるよ。
「飛行速度が速いからですかね?」
「いやいや、一緒におるけぇじゃろ?」
ワワンパァとフーちゃんの所に行ってスリスリしたあと、ルァッコルォの頭に忍鳥突きを実行した。
「痛いであります! 痛いであります!」
自慢気に胸を張ったあと、ルァッコルォの頭の上でスサーをしてる。片羽と片足を伸ばすヤツ。そして満足したのか、髪の毛に潜って目を閉じた。
≪一緒に行動したかったんだなあ。コロッセオダンジョンの時は置いてっちゃったしさ≫
「それは仕方ないですよ。戦闘に耐えうる強さは、持っておらぬがゆえの判断でしたし」
「あの時はなにがあるか、分からんかったけぇねえ」
「ストームジャイアント、危ないした」
今回だって絶対平気かどうかなんて、分かんないんだけどね。行先はフーちゃんちだし、まあ大丈夫だろうってことで連れて来たんだ。
「でも修行、成果、カッコイイあるした!」
「あれには驚きましたな。まさか纏いを使うとは」
「
ハヤテのカッチョよさに痺れたところで、フーちゃんが一言。
「んー、休憩島、そろそろ、はず。みんな探すしてー」
≪じゃあ僕が分散して探してくるよ。みんなは待ってて≫
「
≪分かれて探すより、そのほうがいい気がするし。僕だけなら速度も一緒だし、距離と時間が説明しやすいと思う≫
「ポーちゃん、賢いでありますな!」
「賢い~。まかちょけする?」
≪する。まかちょーけ!≫
どうやらこの辺りに休憩する無人島があるらしい。ポツーンと1個。僕は分散して探すことにした。北に向かうことを不明にするため、高度を取っての移動だったので小さな島とかは見逃してるよ。雲の上を飛んでるので。
フーちゃんの感覚からすると、この辺りらしいんだけど……お腹の好き具合で判断されていらっしゃいますので、なかなかに難易度の高いミッションとなっております。
高度を下げての捜索。南東10分くらいの距離に無人島を発見した。小っちゃいから、渡り鳥が休憩する程度にしかならなそう。絶壁系の島だったよ。周りの壁を調べてみたけど、洞窟もないね。
島には低い木と草むらがあるくらいだし、探検とは無縁のサイズ。なのでみんなが来るまでに、お昼の準備でも整えておきましょう。特に鳥の糞の除去は、迅速におこなうのであります。
ご飯食べるからね。泊りはしないそうだけど。
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次回≪MISSION:91 始祖のエルフ≫に、ヘッドオン!
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