MISSION:88 JK OP

≪ルァッコルォのお小遣いはカットしろ、って返信があったよ≫

「そんなあっ! お許し下され!」

≪ちなみにみんなにも、罰としてダンジョン街作りの手伝いをしろってさ≫


 さては──バレてもたいして問題じゃなかった。ってことだったのかもねえ。ダンジョン周りを、手伝わせたかっただけかもしんない。策士めー。


「分かるした」

「ほうじゃね。仕方ないわ」

「逃げるする~」

≪逃げちゃうのかー≫「逃げるんね?」

「街作り退屈。嫌いあるする!」


 でもフーちゃんの自由さを、理解してなかったのが敗因ですな。まさかの逃げるを選択。まあソコソコの残機が、コロッセオダンジョンの中に残ってるからね。荷運びなんかだろうし、アッチの僕に任せちゃってもいいかなって思う。


「そ、そんなことをしてしまえば、それがしは許しを得られませぬ。つまりお小遣いがもらえないことにっ」

「ポーちゃんからじゃろ。もろうちょるんは」

「そうでありました。国からのお給金は、なくなったのでした」


 じゃあいっかぁ、みたいになっちゃうルァッコルォ。これが真面目なのに思慮浅いってことなんだね?

 大人組からは、軽いなーって感じの視線を受けております。


 はい、かいさーん。


 だけど夜も更けたし、今日は泊まってけってことで、僕らはダズ爺んちに宿泊することになった。晩ご飯も風呂も済ませてるので、あとは寝るだけだしさ。

 ナターリャさんはギルドに帰って行った。まだ仕事があるそうな。


 冒険者ギルド、さてはブラックだな?

 僕らは明日の朝、ワワンパァんちに帰還するよ。

 うーん、僕の都合でアチコチ移動が多いかもだ。


 僕もブラックだった。すまない。

 でも帰っちゃうのだ。すまない。


 魔石も整理したいからね。僕的な格付けで等級も付けて分けたんだー。

 ゴブコボクラスは1級。ダンジョンコアが9級。って感じで、その間にアレコレあるのを振り分けた。魔石パワーが上のほうは、まだ分かんないからね。上限が決まっちゃうような階級付けは、あとで困りそうだし。

 今のところの最強であるダンジョンコアがトップだよ。


 1級:ゴブコボクラスx125個

 2級:オークx102個

 3級:オーガx67個

 4級:ロック鳥&一般海洋魔物x30個

 5級:亜竜(ワイバーンとかモックドレイク)x75個

 6級:アイアンゴーレムx12個

 7級:アダルトドラゴン&ダミーコア

 8級:エルダードラゴン(ヤミちゃん&フラム部長)&ストームジャイアント

 9級:ダンジョンコア


 それとは別に美味しいシリーズとして、ワイバーンの魔石x18個と、ロック鳥のを21個。念のためのストームジャイアントの魔石を1個を分けて取ってある。1級はほぼ使い道がないので、ダンジョン機能を使って2級に交換する予定。


 ワワンパァチェックもしてもらったので、だいたいこんな感じでオッケーかなって。たださあ、強いほうになるにしたがって数字が増えるのに「級」ってしちゃうと、違和感が半端ないんだよね。どうしても1級が強そう。


 かといって「段」を使うともっと変な感じがするし。しっくりこないんだよね。カラットなら数字が増えると価値も増えるけど、ウーンって感じだし。

 等級付けのカッチョイイ単位が思いつかないよ。


 もうゴブリンクラスのをZ級に任命して、SSSSSSSSSS級とか出てこないようにするべきだろうか? とも思ったんだけど、英語苦手だからABCの歌を歌いながらじゃないと、アルファベットの並びが出てこないポンコツだし……だってもうXの前の文字が分かんないっ!


 ロック鳥クラスの等級を表すのに、Aから歌わないといけないんだぁ。メモッとけって? そいつは「負け」だよね。

 でも白状するとHIJKのあとの文字は、フフフフフンになっちゃう……。


 HIJKとOPQRの間には高い壁がある。だってググらないと分かんない。

 OPQRとXYZの間にも高い壁がある。それもググらないと分かんない。

 っていう理由があって、僕的にだけどアルファベットはなしかなー。マジ分かんない。


 あ級→い級→う級ってのも変だし~って思ったんだけど……ンンッ? ア号イ号ってするとイケル気がしてきましたよー?

 でもそうすると現段階での、最強パワーな設定のダンジョンコアがケ号に。


 ケ。


 僕らはケをいっぱい集めたい。そんなパーティになってしまうゾ?


≪ねえねえ、この世界では魔石の等級を区別するのにさ、どんな単位を使ってるの? さっき決めたのがさあ、どうしてもしっくりこなくてさー≫

「星~」

「ですな」

「ゴブリンとかなら1星じゃね」

≪あ、そういえば冒険者のランクもそうだった。ありがと≫


 クッ、すっかり忘れてた。ちくしょう、僕の負けだ。甘んじて受け入れようじゃあないか。

 だってそのほうが分かりやすいし、しっくりくるから。


「なんねぇ? 暗号にしたいってことじゃあ、なかったん?」

≪な、なかった。思いつかなかっただけ≫


 抜けてるねーってつんつんされる僕。危うくヌケさんっていう変なあだ名になりかけた。可愛くないとの理由で却下されて、本当に良かったです。



「ポーちゃん、起きるする」

≪あれ? もう朝かあ。もうちょっとで夜目と暗視の法陣術が、完成しそうだったから徹夜してしまった≫


 そして終わってないという……ね。でもこのチマチマ作業も、もうすぐ終わりそうだよ。記述をミスってバグっちゃうと面倒だし、焦らずやっていこうかな。


≪怠ける僕と交代して活動する。勤勉な僕は怠ける~≫

「相変わらず不思議すぎるんじゃけどぉ」

≪異世界転生っていう前提条件付きだけど、人の頃より楽しいような気もしてる≫

「エー、それ、いこと?」

「仕方ないんじゃけど、そりゃあダメなような?」

≪んー、そんな気もするんだけどね。まあいいんじゃないかな? 楽しいんだし≫


 ちゃんと僕の文字を読んでくれるから、っていうのは確実にあるね。


朝餉あさげの準備が整いましたよー」

「いただきますするー」

「ルーちゃんありがと」

「はーい」


 朝ご飯を食べながら、改めて感謝の言葉を伝えておいた。


≪ありがとね≫

「「「?」」」

≪フッフッフ、僕はみんなに感謝の気持ちでいっぱいなのだー!≫


 喋れなくても意志の疎通ができてるから、ひとりじゃないって実感できるもんね。スライムなのに、人ひとりとして認識してくれてるし。

 なんか3人ともテレちゃってるんだけど、伝わったのなら良しってことで。


「ほんじゃあ気ぃ付けてのぉ!」

「また来るするー」

≪続報あったら連絡しまーす≫

「ダズ爺のお陰でルーちゃんのが作れそうじゃわ。ありがとね」

「感謝であります! これでそれがしもカッコ良く。フヘッ」

「おう!」


 ルァッコルォの纏う、オーラ的なヤツの表現に使う素材の作り方を、教わったらしい。アクリル板みたいなの。これはもう、いいフィギュアができるんじゃないかなーって思うよ。


 ダズ爺にじゃあねーって声をかけて空の旅へ。

 用事も終わったので、ワワンパァダンジョンに戻って準備かな。次の目的地は、いよいよ世界樹の森だからね。


「コロロの森まで、どのくらい掛かるん?」

「3、4日、くらいある」

「かなり遠いのでありますな」

「うん」


 フーちゃんによれば、地図に載ってない小っちゃい島で、休憩したりしながら行くみたい。なるべく人に見られないように、高度を取って移動するってさ。世界樹の場所を、秘密にしなくちゃいけないからだろうね。

 数日かかるのは、待ち時間や儀式があるからだって。


「お酒、お風呂、イヤするぅ。臭いあるぅ」

「飲めるん!?」

「美味しいない、聞くした、よ?」

「残念じゃー」

「そもそも汚いのでは……お風呂なら人が入るのでしょうし」

≪だよねえ≫


 なんか北大陸に入る前に、手前の島で禊をするそうだよ。それがお酒のお風呂。つまりアルコール除菌するってことかあ。

 そして北大陸に入って、連絡所で村の現在地を教えてもらうまで、待機ってことらしい。


≪村が移動するんだねえ≫

「するー」


 森の調査とか管理、結界の維持とか、大人にはやることがあるんだって。

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次回≪MISSION:89 万化の王≫に、ヘッドオン!

※魔石の等級格付け単位

HIJKとOPQRの間、STUとXYZの間には本当に高い壁があるのです。

だからありがとうMシュラン。

星で格付けするなんてカッチョヨイ方法を作ってくれて。なんてカッチョヨイんだ。

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