MISSION:76 孤島の戦場
昨日の夜に
≪海の浸食でできた洞窟に出るそうだよ。元の世界だと青の洞窟って言ってさ、絶景スポットで大人気だったんだー≫
「魔物がいない世界ならではですねえ」
「うん。ここ、無理。魔物襲い来るする」
「観光もこの世界じゃ、ある意味命がけじゃけんね」
確かに街道を移動する時だって、魔物に襲われる可能性があるもんなあ。でもそれが普通の世界。護衛とかを雇って別の街のお祭りに参加する人だっているし、港街にバカンスなんて人も見た。
逞しいね。命の力が地球とは段違いだゾ。くしゃみ骨折なんて無縁の世界かもしれない。
「ほんじゃあ行こうかー!」
おーって掛け声を揃えて出発。順次ドアをくぐり抜ける。
「キレイ、場所あるする!」
洞窟に差し込む朝日が、海面に反射してキラキラしてる。その光が岸壁にも映ってて幻想的。エメラルドグリーンの海は水が澄んでてキレイだよ。透明度が凄く高いね!
でもそんな観光スポットから出ていくのは戦闘機である。AWACS、エアタンカー、ラプター隊とお馴染みの編制。コレが一番動きやすいからね。
<こちらAWACSヘヴンアイズ。昨晩は見えなかったけど、上空からだと島が点在してるのが分かった。現在敵影なし>
広大な海には、それほど問題を感じてない。実際の海とは違って、ダンジョンの海ステージには端っこがあるし。ただアチコチに散らばってる島を、探索するのには時間が必要だなあ。
≪AWACSとエアタンカーは2つに分かれて、4方向に散って調べてよ。僕らは一番近い島を探索してみる。で、オッケー?≫
「おっけぇ!」「ラジャーじゃ」「了解しました!」
≪打てば響く、元気なお返事をありがとう~≫
僕らは飛べるから問題ないけどさ、普通のパーティだとどうするんだろう? マジックバックなんてないって聞いたし、いかだでも作るしかないような?
アイアンゴーレム倒すようなパーティだと、なにか手段があるのかなあ。
「敵を発見。大型の鳥ですな」
「どこー?」
「ウチも分からん」
え、僕も分かんない。島の方向を指さして、敵の場所を教えてくれるルァッコルォだけど……。
≪分からないんですがー≫
「私、分かるない」
「全く見えんのじゃけど」
「あそこ、ほら、動きがありますよ?」
先生、全然分かりませんっ! ルァッコルォは木の揺れなんかを、風と生物の動きの違いとかで判断してんのかな。訓練の賜物? 僕じゃあ無理だね。僕のは残機を使ったパワーサクテキングだし。
「やっちゃうでありますー。早い者勝ちでありますぅ。ばしゅぅーん!」
「あー、ズルイするー!」
「あっ! やっと見つけたのに取られてしもうたぁ」
ワワンパァいわく、ロック鳥だったそうだ。
≪魔石欲しい! ババロア味の貴重な魔石!≫
「いっぱいいますな。取り放題ですよ」
≪ヤッター! 早く行こうよ、スイーツ島っ≫
ワイバーンもいたらイイナー。レアチーズケーキみたいな味だし。美味しい魔石はワワンパァダンジョンで手に入れたヤツだから、もう在庫がないんだよね。
アーさんとこで手に入れた、バニラオレンジ味のクレイジーモンキーの魔石は、ワイバーン級の魔石にクラスチェンジさせちゃってるから味がないし。
クラスチェンジ魔石は、無味無臭の残念味になっちゃったのだ……くそぅ。
≪美味しい魔石が必要なのです!≫
「オイシイのは不要ですか~?」
ニヨニヨしながらルァッコルォが聞いてくる。
≪必要と言えば必要。しかしっ、ゴーレムとモックドレイクで結構稼いだのだよ≫
ウッド、ボーン、マッドゴーレムはオーガと同等だし、ストーンゴーレムはワイバーンやモックドレイクと同等だしね。魔石サイズがオーガやクレイジーモンキークラス以上、ってことで換算したら100個近く獲得してる。
「おー、稼ぐしてたあるー」
≪亜竜クラスだけで数えても41個あるのだあ!≫
「稼いじょったねえ」
「モックドレイクのお陰で儲けたでありますな!」
なのでオヤツ魔石のロック鳥は、是が非でもいただきますする~。
根こそぎだー。
≪ジアッロ隊出撃ッ。特殊兵装はLAAM。各機FOX3!≫
「アアッ、負ける、ないっ!」
「ウチもじゃー」
「うぅ、それがし、残弾2発……接近戦に移行します!」
孤島は戦場になった。雑に戦って魔石を壊さないでよ?
一応念のために、ジアッロ3、4にはAWACS役を頼んでおこう。ダンジョンだから不測の事態が起きても不思議じゃないしね。戦力的には過剰だけど。
他の部隊からも連絡が届き始めた。モックドレイク、ワイバーン、ゴーレムの生産場というのかな。それぞれの場所でこのダンジョンの魔物が量産されてるみたい。僕らが狩場にしてる島はハズレ孤島ってことかあ。
味はNo1でも強さは最弱、ロック鳥の島だし。
そして2つ問題がある。
≪大問題なことにフレッシュゴーレムの島があった。精霊が入ってるか僕には分からないから、あとで確認してねフーちゃん≫
「ムゥッ、分かるした。ダンジョンマスター、許すないする」
みんなの呪いへの耐性が分からないから、僕がやる。万が一呪われても僕なら切り捨てることが可能だし。全力で仕留めて行こう。
2つ目の問題はいつ現れたのか分からないけど、そこそこ大きい船が第3ステージとの出入り口のある島に向かってるってこと。
僕ら以外に誰かいるのだろうか?
≪分離してチョット船を調べてくるよ≫
「了解であります!」
「お船、仕掛けする? 罠あるする?」
「怪しすぎるんよねえ」
ワワンパァダンジョンの海ステージにも船は常設されてる。船なんて作るの大変だし、いかだじゃ危ないしで。魔物もいるけど、海産物を取るためのステージだから安全を考慮しての結果なんだけど、ここは違うもんね。
コロッセオのシステムは、明らかに来んなボケェの仕様だった。届けられた船なんて、なにかあるに決まってるよ。
≪バーカバーカ、考えが浅いんだよ、ダンジョンマスターの癖に~≫
空に向かって意思を表示しておく。見てる可能性は高いからね。暢気に乗船するわけないじゃーん。って思ったんだけど、乗らないと分かんないから乗っちゃった。
これで残機が減っても、片方の腋がツルツルになる程度の消耗なのさ!
この世界はムダ毛処理意識のある世界なので、僕好みです。
≪お船に乗っても、なにもありませんでした≫
「エッ? 罠がないのでありますか?」
≪ナカッタヨ≫
「なに? 誰、お船、用事あるする?」
≪ダンジョンマスターの居城まで、案内するってメッセージがあった≫
「なにを考えとるんじゃろう?」
フレッシュゴーレムのことを考えれば、いい人のはずはない。だけど連れて行ってくれるらしい。目的地の場所も記されてる。随分と標高の高いところに、城を建てて暮らしてるダンジョンマスターのようだ。
≪このまま船で向かったら到着する頃は夜だね≫
「夜、寝るする」
「ほんなら向かうかあ」
「相手にとって都合が悪い時間のほうが有利ですし!」
では全機集合したのち、ダンジョンマスターの城まで行きますか。エアタンカー2番機の担当地域が1番近いので、そこで集合にしましょう。夜に開くダンジョンだから、ダンマスも夜型なんだろう。なので明るいうちに急襲しちゃうよー。
≪移動中に魔石を数えておこう。連絡ヨロ≫
なおこのステージでは、ゴブコボ級、オーク級の魔物はスルーしたのでなし。他の11ルート分だけだね。ついでに魔石以外も全スルーしてる。
ということで、獲得したのは魔石のみ。
ゴブコボ級の魔石が83個。オーク級のが71個。オーガ8個。ロック鳥21個。モックドレイクは12個。ワイバーン18個。ストーンゴーレム8個にアイアンゴーレム6個。
フレッシュゴーレムの魔石は7個。これは呪われてるかもなので、注意が必要だ。
アイアンゴーレムはもっと狩りたかったなー。でも時間が経てば経つほど、ダンジョンマスターの準備も整うはずだし、仕方ないかもだね。
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次回≪MISSION:76 メイガス≫に、ヘッドオン!
素材 他ルートも換算済み
モックドレイク43体
魔石x43 皮&竜鱗x31 爪x18x31 牙平均55本x31
ワイバーンの魔石x18
オーガ26体 魔石x26 角x36
ロック鳥 魔石x21
ゴブリン級の魔石x125
オーク級の魔石x102
ウッドゴーレム 魔石x13
ボーンゴーレム 魔石x13
マッドゴーレム 魔石x13
ストーンゴーレム 魔石x12
フレッシュゴーレム 魔石x6(呪われた精霊入り)+7(未鑑定)
アイアンゴーレム 魔石x12 +2ツーハンデッドソードx6
※パワーサクテキング
パワーレベリング的な造語。索敵キングではない。
それならばパワーサーチングじゃないのかと思われるかもしれませんが、面白みに欠けるので却下であります。
なお、パワーサクテキングが面白いのかという疑問を持つことは禁忌であります。
※LAAM
ロングレンジ・エア・トゥ・エア・ミサイル
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