MISSION:55 独占

 ワワンパァと相談して、ダンジョンはまた海の中に沈めた。どうせ誰も来ないんだし、コアだけ守れたらオッケーなので、海中に沈んだままのほうが海の生物でDPが稼げるからね。


 ダンジョンコアのある部屋へ入るために、扉に僕たち誰かの魔力を込める必要があるギミックを付けた。これなら魔物じゃあ入ることはできないので。


 そして魔法が満足に使えない状態のフーちゃんを、潜水艦になった僕の中に入れて海上へ。笑い過んぎぃ。でもまあ、さすがに途中で正気に戻った。

 というより、空気作らないとフーちゃんは呼吸できないからね。精霊王1体だけなら、まあ平気だったみたい。


「着替えに1回ダンジョンに戻りたいんじゃけど」

「おっけぇ、私、まかちょけするー」


 僕は潜水艦のりゅうぐうから魔石を半分もらって分かれる。引き続き海中の魔物で稼いでもらおう。


≪よろしくー≫

<らじゃ>


 ダンジョンまでは結構距離があるから、速度を上げて帰還しましょう。


≪金貨のせいで身体が重いー。エアタンカーに分離して王城に向かうよ≫


 僕はちびっ子ジアッロ1状態になって、それ以外を輸送機にした。着替えたりお風呂入ったりご飯食べたりの時間もあるから、丁度いいタイミングになるんじゃないかな。


「ポーちゃん、運ぶする」

≪うん。お願い≫


 久しぶりにフーちゃんエアラインのお世話になりましょう。小っちゃくなったので速度が出せないのです。


≪そういえばさあ、フレイムプロテクションとファントムタッチは、コッチでもらったほうが良くない? 炎耐性はふたりの服を守るために使えそうだし。それに僕、対霊体なんて攻撃手段がないよ≫


 だけどふたりの意見は違った。


「魔力込めるする、霊、倒すする、可能あるー」

「フレイムプロテクションも装備品には付かんで? 身体に効果あるんよ」

≪あ、そうなんだ。じゃあ特に必要ってこともないんだね。これで交渉しやすくなったかな。浮遊石は絶対にもらうのだあー≫


 見つけたお宝は、僕らには必要ってほどの物でもない。フレイムプロテクションと、ヘルス、あとダガーはもらえたらダンジョンのお宝に入れるってさ。それでも最近はDPが儲かってるので、どっちでもいいらしい。


「ポーちゃん、情熱、分かるない。フフッ」

「なー。そんなんもろうてどうするつもりなん?」

≪ああ、そういえばワワンパァには言ってなかったかも≫


 説明した。空中要塞に僕はなるのです。空で生活可能な状態になってみたいんだよねー。荷物もいっぱい運べるし。そしてお宝をため込むのだ。


≪まあ、ただのロマンなんだけどね。僕は空中要塞パンツァーポーになりたいのだあー≫

「ポーちゃんの中におったら、真っ黄色で落ち着かんのじゃけど」

「それぇー。落ち着く、ない。皆無した」

≪色変更の法陣術を開発するですヨ≫


 なんにしてもさ、僕の量を増やさないことには始まらないね。海中で残機を稼いで、戦力を増やそう。

 今のところはりゅうぐう隊が4隻だけだし。もう1部隊作るか。名前なににしようかなあ……りゅうおうでいいか。りゅうおう隊はとりあえず2隻作って海で増やしていこう。


 船系はナンチャラ1とか言わないと思うけど、同型艦だし良しってことで。ぶっちゃけ潜水艦にならなくて、魚雷だけで運行したっていい気もするけどね。雰囲気も大事にしていきましょう。


「リオ~、来るした!」

「恐ろしいものを発見したな、姉上よ」


 ダンジョンで一休みした僕らは、さっそく王様の所に突撃。遠慮もくそもないのは、フーちゃんがいるからこその行動だね。


「うー? 見つける、ポーちゃんした。私、ムリー」

「ポーちゃんは発想がこの世界と違いますけん」

≪そう? 海底探索とか考えないものなのかなあ≫

「うむ。我ら人類は地上で精一杯だな」


 森の増加を食い止めないといけないからだって。


「森林に飲み込まれた、古代遺跡の研究も進んでおらぬ。だが──」


 見つけちゃったからねえ。虹の忘郷。しかも天然物浮遊石付きで。時代考証なんかは金貨でできそうだし、言ってみようかな。


≪空中要塞化計画のために、浮遊石はいただきたいんですけど≫

「ぬぅ、浮遊石、か。確かに研究するには向かぬが……まあかろう。人が持つには過ぎた物。そもそもお主が発見したのだしな。だが争いになりかねんゆえ、極秘じゃぞ?」

≪ヤター! 内緒了解です≫

「ポーちゃん、いした、ねー」

「じゃあポーちゃんを増やさんとねぇ」

≪今更だけどさ、空中要塞ってば要人の避難場所にも、超ピッタシってことに気付いたよ≫

「フッフ、完成の時には見せてもらおう」


 王様は宰相を呼んで、その他の分配を相談し始めた。結果──


 譲渡する物

 リング・オブ・アンチポイズンx5

 リング・オブ・フレイムプロテクションx2

 リング・オブ・アンチカースx1

 ブレスレット・オブ・アンチディジーズx1

 ブレスレット・オブ・ヘルス

 山盛り金貨


 獲得した物

 天然浮遊石

 ダガー・オブ・リターニング

 ダガー・オブ・ファントムタッチ

 ダガー・オブ・ショック


 ──ってことになったよ。


 ちなみに宰相は虹の忘郷の話を聞いて、スゴイ興奮してた。学生時代は考古学専攻してたんだって。なので僕らにはつまんなかった廃墟だけど、マップを見せたら一心不乱にメモってたね。

 自分の目で見たがってたけど、それはムリデス。その内にでも割れた器とか壺の破片なんかを持ち帰ろうと思う。


≪ところで超巨大なタコを見つけたんだけど。東大陸に向かう航路で≫


 見つけたというか捕まったんだけど。海底から急にタコ足が出て来てガッチリホールドされた。締め付けが激しいけど、スライムには無意味だねえ。当然僕も攻撃してるんだけど再生速度が速くてさ、りゅうぐう1隻の分解速度と同じくらいだから無限1UP状態になってるんだよね。


≪クラーケンってヤツかなあ。退治しちゃっていい? それとも戦いたい? フーちゃんでも、何時間かは掛かりそうな距離なんだけど≫


 距離は海底遺跡からさらに王都→ミルセラくらいの距離分追加したくらい。たぶん音速越えないと1時間は切れないと思う。


「戦う、したい……」


 そう言うフーちゃんだけど、チラッと王様を見る。まあ、ダメそうだよね。


「姉上、スマンがポーに任せてくれ。年に数件は被害が出ておる」


 それに水中だと力を発揮できないだろうと、いさめられてるよ。大型の船が襲われるそうだ。軍用艦とか大型商船とか。


「ポーちゃん、ズルイするぅ」

「海中はウチらじゃ難しいんよねえ」

≪まあ仕方ないよ≫


 移動も攻撃も制限されちゃうしね。空気の問題もあるし。


≪呼吸は大事。息しなくても生きてる僕が不思議生物≫

「ウチも片足突っ込んだわ」

「変、ふたり」


 うん。オカシイ生物になっちゃったなー。1戦場で残機0になっても大丈夫な状態になってるから、行動も大胆になってる気がするね。

 以前だったらひとりでクラーケンと戦闘開始、なんて絶対に思わなかっただろうし。


≪そのヘンテコリンな僕は、残機がいっぱい増えそうでウッキウキでーす。クラーケンはサイズもサイズだし、再生もするからチョット時間が掛かりそうだよ≫

「ポーちゃん増える、問題ないする?」

≪増えたら増えただけ攻撃力上がるからね!≫

「海はポーちゃんの独壇場じゃねえ」

「まかちょけ、するー?」

≪する。まかちょーけー!≫


 海中に沈んだ文明なんかも、まだまだありそうな気がするし、儲かるだけの世界ってスバラシイ。ワンチャン虹の忘郷も1個じゃない可能性だってある。世界各地に伝説が残ってるからね。そしたら浮遊石も手に入っちゃうかもだしぃ~。


 またなにか見つけたら報告しますってことで、僕らは王様のところから辞する。


 ダンジョンのほうも落ち着いてきたし、東大陸に行ってみたい。だってさあ、ケモミミが見れる場所って、基本的に東大陸って言ってたしー。


「ウチぁ別に構わんよ。フーちゃんは?」

いするー。お金必要あるする」

≪じゃあなにも問題ないね。またもらったし。フィギュアの売上≫


 現在の所持金は、金貨133枚、銀貨238枚。使うことが全くないので貯まっていくだけなんだよなあ。住処も食事も王族とダンジョンでいいものを得られてるし。

 ウーン、なんというチート。

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次回≪MISSION:56 スカイアイズ≫に、ヘッドオン!

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