ショッピングは楽しいぞ

ショッピングは楽しいぞ 1

「そういえば思ってたんですけど、家族が増えたので色々買い物行きましょう」


 夕食中、僕が提案をすると、アンさんとレオンは夕食を含んだ口を動かしながら僕の顔を見た。

 レオンを受け入れて3人家族になってから数日が経った。元々はアンさんと亡くなった彼女の両親が住んでいた家だから食器やベッドなどの設備は足りている。けれど、足りているからといってそれで片付けるのは、生活に潤いと言うか張り合いがない気がしていた。

 僕は物欲が強い方ではないけど、どうせなら豊かに暮らしたいと思う。それはレオンだって同じだ。人のおさがりしか使えないというのは嫌だろう。


「あぁ、確かにそうね。レオンくん用の物が色々欲しいわね。今着てるのも誰かが置いてったやつだし」


 アンさんが感心するように言うと、変な柄のシャツを着たレオンの声が「買い物ができるの!?」と予想外の事に驚く様に跳ねた。アンさんが笑顔で頷くと、楽しいことが起こる予感が確信に変わったレオンの目がぎらぎらと煌めきを放ち始めた。


「俺、バスケのボールとネットとプレステ欲しい!」


 他にも欲しい物を並べるけどため息が出る程全て生活必需品からは遠い物ばかりだ。一々否定するのも大変なので僕は次々あがる商品の名前をうるさいと言って途中で遮ってしまった。


「遊び系は後回し!優先するのは服とか、物々交換でなかなか手に入んないやつな」


 ちえ、とレオンが口を突き出している。あれば持って帰ればいいじゃないとアンさんが慰めていた。


「あと、お買い物っていってもお金を出すショッピングじゃないわよ。便宜上買い物って言ってるだけで潰れてそのままのモールに物をもらいにいくだけなの」

「それって泥棒……」

「大丈夫!もうみんなやってることだから」


 あははとアンさんは笑い飛ばしていたけどレオンがドン引きしたような表情を浮かべていた。

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