巨乳で美人なシスターは、僕らを優しく殺してくれる。~シスターアンとうつくしい僕らの世界~
あやしななせ
シスターアンとうつくしい僕らの世界 第一部
第0話 芋煮会をしよう
芋煮会をしよう 1
吹き抜ける風が輝いて目に見える様な、爽やかな秋晴れの日だった。
私はピクニック用の椅子に腰掛けて、青空の下、冬の訪れを感じさせる涼しい風を全身で堪能する。今日はこの中でいちばんの年寄りなんだから、飯を待つだけの立場に甘えてもいいだろう。頭の中で言い聞かすように思いながら、若者3人が慣れない野外の食事の準備に右往左往しつつ昼食の準備をしてくれているのを、ありがたくて、尊い光景だと思いながら眺めていた。
「サトウさん、ショーユとミソ、一緒に入れてもいいんですか?」
「だめだめ、醤油は醤油、味噌は味噌で分けておくれ。醤油の方には牛肉、味噌の方には豚肉。間違えないで。昔はそれで血を見るような争いが起こったんだから」
「はは、おもしろい冗談!じゃあちょっと待っててくださいね」
アンちゃんが僕の背中を何度か軽く摩りながら太陽みたいな暖かい微笑みを浮かべ「別だって!」と、秘密の答えを教えてもらった事を友達に自慢するように明るく話した。声をかけられたうちの1人のレオンくんは「えーじゃあ俺鍋取ってくるよ」と、座った姿勢のまま少しだけめんどくさそうな顔をした。私が行こうか?という言葉に「大丈夫だよこんくらい」と無愛嬌に返すと、太陽の光で茶色く光る黒髪を風で靡かせながら、彼は台所に戻って鍋を探しに行く。
「サトウさんのご先祖様って東北の方だったんですか」
「あぁ、トーホクの出だそうだよ」
新しい鍋が来る間に火おこし担当のスバルくんが新しい薪をくべて、全体に火が回るのを待っている。青空の下でキャンプをすると聞いてから心配していたけれど、都会出身だという割には手際が良い。誉めると、本をかき集めて予習してきたんですと照れくさそうにしていた。
「私も父も祖父もこっちで生まれたもんだからトーホクにいたのなんて何代前のことだか私にはもう分かんないねぇ。調べようがないし」
「東北は日本でも雪がかなり降る場所で名物料理が多いですね、きりたんぽとか林檎とか。僕は、まぁちょっと行ったことないんですけど。あ、そうそう酒処とも聞いたな」
「酒!いいねぇ。私も行ってみたいなぁ」
「……今日くらい飲みます?」
「いんや、妻に怒られるから」
「あはは、確かに赤ら顔では格好つかないですね」
煤で鼻の頭を黒くしたスバルくんがからかうように笑った。しばらくして火が十分に起きると金属の鍋に大量の水を入れ直接火にかける。沸騰するのに時間がかかるから、みんなその間に野菜の準備に取り掛かり始めた。
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