わたしの好きなベートーヴェン
雲のポテト
第1話
音楽室の壁に貼られている、ベートーベンだかベートーヴェンだかどっちでもいいし、あれが絵なんだか写真なんだかも知らないけど、わたしはとにかく彼に恋している。便宜上、わたしの中ではベートーヴェンに統一させてもらっている。
彼は他の作曲家と比べて、なんといってもワイルド、かつ繊細。わたしは好きなくせに、くわしい彼の生涯など知らない。知らなくても曲を聴けば、なんとなく人と成りがわかるというもの。否、それは思い過ごしで、実際は全然ちがうのかもしれない。
しかし、それでいい。わたしの中の彼を、ひたすらに愛している。
そんな恋心を誰がわかってくれるというのだろう。否、もちろん、誰もわかってくれるはずがない。
しかし、それでいい。わたしはわたしの中で、彼とデートし、キスをし、めくるめくメイクラブだって、できるというものだ。そう、あくまでわたしの中で。メイクラブが、どんなものか知らないけど。
この恋は誰にも話せない。相談できない。そりゃそうだ、頭がおかしくなったと思われてしまう。それは困る。
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