第25話最高の文化祭
「う~ん…そうだね……」
校長室に緊迫した空気が流れる。腕を組んで小さく唸る校長先生を僕らは固唾を呑んで見る。
「学校全体で話し合ってみます。反対するわけではありませんが、やはり難しいことなので」
「わかりました。ありがとうございます」
凛とした真剣な表情で朱音先輩が言う。やはり校歌をアレンジするという行為は作曲者の想いを踏みにじることにもなりえるため難しいことなのだろう。しかし朱音先輩の真剣な顔を僕は初めて見た。
「いや~OKもらえるといいね!」
部室に戻り、朱音先輩は表情を崩し優しく言う。
「克己君の考えが無駄にならないといいね~」
一花先輩が僕に笑顔を向ける。
「ですね…」
「じゃあ残りの時間は……私と克己君はこの曲のパート分けしよっか!美香ちゃんと和人君は楽譜の確認、一花ちゃんは作曲をお願い!」
それぞれが作業を始めだすと、朱音先輩が歌詞が印刷されたプリントをカバンから取り出す。向かい合わせになって僕らは話し合いを始めた。
「こことか音程が高い部分は克己君に任せたいな。低音は任せて!」
歌詞を指でなぞりながら朱音先輩が言う。ちょうど僕が得意な音程だ。
「任せてください!」
僕は自信を持って言った。
「頼もしいなぁ!」
絶対観客を痺れさせてみせる。
よし、いい感じ。ノってきた!
楽譜を覚えるのは得意!思うがままにドラムを叩いて着実に曲を覚えていく。
文化祭に対する不安もあるけど、期待も互角以上にある。
キラッキラのドラムを魅せてやる。絶対にね!
鋭い音を響かせながら楽譜を覚えていく。確かな楽しさを覚えながら指を踊らせる。失敗はすごく怖い、けどそこから学べるものもある。
失敗上等。観客全員湧かせて見せる。
緊張と不安に襲われながらもキーボードを叩く。
1文字1文字に丹精を込めて曲を作る。それが私のモットー。見たい景色は輝く観客席。
最っ高の曲を作ってやる。
必ず最高の文化祭を作る。僕らの思いは一つだ。
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