第3話「大天使リンちゃん」前編
見えますか?
ここは主人公達が住む世界ではない、どこかに存在する光に包まれた明るい世界。
[天界の門番]
「おやおやリン様、おはようございます」
[リン]
「おはようございます!下界へ降りたいのですが」
主人公達が住む人間界に降りようとしているこのリンと言う男。
[門番]
「はい、すぐに」
今、天界から人間界へ続く扉が開かれる。
……。
なんて事無い平日の朝。
[朝蔵 大空]
「おはよー」
朝は起きて始めに私は家族に朝の挨拶をする。
[朝蔵 真昼]
「おはよ」
今から皆で朝ご飯を食べる。
私と真昼とお兄ちゃんと、ミギヒロとで。
[朝蔵 千夜]
「はーい右宏ちゃんのご飯大盛りしてあげたよー♡」
[加藤 右宏]
「ありがとうございマス!」
あれから千夜お兄ちゃんとミギヒロは大分打ち解け合ったみたいだ。
お兄ちゃんもミギヒロの事はもうあまり警戒せず、普通に接している。
私の家は義理含めて4人キョウダイになった。
ピンポーン♪
皆でご飯を食べている時だった、家のインターホンが鳴った。
その音で全員の箸が止まる。
[朝蔵 真昼]
「何?」
こんな朝早くからお客さん?
[朝蔵 大空]
「私出て来るよ」
宅配便かな?
お母さんがまた何か頼んだのかも。
そう思い私は席から離れて玄関の所まで来る。
ガチャ。
私はすぐに玄関のドアを開けた。
するとそこには誰か人が立っていた。
[???]
「おはようございます!ソラ様」
ドアを開けた瞬間耳に響く気持ちの良い元気な声。
[朝蔵 大空]
「??」
ぽかーんとしてしまう私。
だ、誰ー?
誰だこのイケメン。
[朝蔵 大空]
「えと……どちら様でしょうか?」
[リン]
「私です、リンです!ソラ様」
リン?って言うか、私に様付けって!?
でもなんだろう、なーんか見覚えがあるような。
この人の事私は、なんにも知らないって事は無いような気がする。
[朝蔵 大空]
「リン……さん?あっ」
あ!あ!
私はリンさんの顔を見て、いつしか見た夢の事を思い出す。
思い出したかもしれない。
[朝蔵 大空]
「り、リンさん!?」
忘れてたけどこの人、前に夢で出てきた天使の人!
でも、今日は背中に羽とかが無い?
服装はちょっと普段着とは言えない白を基調としたなんか神聖な感じの服を身にまとっていらっしゃる。
待って、そもそも目の前の人と夢に出てきた人は同一人物で合ってるんだよね?
[リン]
「もしかして!思い出して頂けましたか?」
[朝蔵 大空]
「えぇ、まあ……」
とりあえず名前と顔は一致した。
[リン]
「それは良かったです!」
リンさんはそう言ってとても嬉しそうにする。
喜んでくれるのは良いが、この人は一体私の家まで来てなんの用なんだ?
[朝蔵 大空]
「そ、それで今日はどう言った御用で?」
[リン]
「いえ、今日はただご挨拶にと。夢空間より、直接お会いに行った方が良いかなと思いまして!」
そう、この人は夢で数回名前を聞いただけの相手。
大した話は確かしてないはず、してない……はず。
あれ?
[朝蔵 大空]
「あ、あの!1つ確認したいんですけども」
[リン]
「はい!何なりと」
そう言ってリンさんは気持ち良く返事をする。
[朝蔵 大空]
「あの、私貴方の事よく分からないんです。ごめんなさい」
[リン]
「それは仕方が無い事だと思います。貴女の記憶は今、非常に曖昧な事になっていまして……」
私の記憶が曖昧……。
ここの所、私も自分の記憶がおかしくなってると思っていた。
この人何か知ってる?
[朝蔵 大空]
「その!リンさんは私が前に夢で会ったリンさんで間違いないですか?」
[リン]
「はいソラ様!私と貴女は何度か夢でお会いしていて、実際に会うのは今日が初めてでございます」
まさかこの人と現実世界で会うなんて、しかも自分の家の前。
[朝蔵 大空]
「な、なるほど?」
[リン]
「それにしても、こうやってお会いするのは初めてですが。貴女はとても可愛らしい方ですね」
そう言ってリンさんは、私の手を取って自分の顔の近くに私の右腕を引き寄せる。
[朝蔵 大空]
「え!?」
い、いきなり何言い出すのこの人!?
何かのお世辞?
さすがイケメン人外、やる事が違う。
[加藤 右宏]
「大空ー?誰か来たのかァ?」
次の瞬間、リビングのドアからミギヒロが廊下に出てきた。
[朝蔵 大空]
「あ、ミギヒロ」
[リン]
「ミギヒロ……?」
[加藤 右宏]
「んぁ?」
ミギヒロとリンさんが顔を見合わせる。
[加藤 右宏]
「な、なんで天使の野郎がここに!?」
[リン]
「貴方は……ああ、リュカ王の」
りゅかおう?
[加藤 右宏]
「あ!それは!かっ……帰れー!帰れー!」
するといきなり、ミギヒロがリンさんの方に飛び掛って来たのだ。
[リン]
「うわなんか来た」
[朝蔵 大空]
「ちょ、ちょっとミギヒロ何やってんの!失礼でしょ?」
私は慌てて
[リン]
「で、ではソラ様!またお会いしましょう」
リンさんはそう言うと大人しく家から離れて行った。
不思議、あの人は一体何者?
なんで私の所に……。
[朝蔵 大空]
「ちょっと!ちょっと!なんで追い返したりするのよ?」
急な訪問で私も対応に困ってたけど、聞きたい事は他にもあった。
[加藤 右宏]
「お前、さっきの奴と知り合いナノかー?」
ミギヒロは私の質問を無視する。
[朝蔵 大空]
「えー……知り合いって言えるのかなー?てかよくあの人が天使って分かったね?私の夢で出てきて……的な?あ!あんたと一緒ね!」
そう言えばこいつも最初夢で出てきたな。
人外って人の夢に出てくるの流行ってるの?
いや、そうするしかない事情があるのかもしれないけど。
[加藤 右宏]
「ああ見れば分かル。ソレにしても、まさかそこデモ繋がってたとハナ」
[朝蔵 大空]
「うん……私もよく分かってないけどね」
前の夢で、あのリンさんって人に私は何か助言された気がする。
だけどそれが思い出せない。
[加藤 右宏]
「それより!お前、今日気を付けろよな〜?」
[朝蔵 大空]
「な、なんでよ?」
何か問題でもあるの?
[加藤 右宏]
「匂いとかついてないよな……」
[朝蔵 大空]
「ちょっ……」
ミギヒロが鼻を近付けてきて私の周りを嗅ぎ回る。
[加藤 右宏]
「一応消臭
プシュッ!シュッ!
私の体に消臭スプレーがかけられる。
[朝蔵 大空]
「こ、コラ!勝手に何してるのよ!私臭くないってば!」
[加藤 右宏]
「クソ〜天使の残り
ミギヒロ、何を気にしてるんだろ?
天使の残り香?
残り香……ってどう言う意味だっけな。
……。
[永瀬 里沙]
「大空おはよー」
[朝蔵 大空]
「おはよー」
教室に入って私は1番に里沙ちゃんと挨拶をし合う。
そして私は自分の席の所まで行く。
[卯月 神]
「……?」
[朝蔵 大空]
「おはよう!」
横に座っている卯月君がこちらを見ていたので私は卯月君にも挨拶の言葉を掛けていく。
[卯月 神]
「お、おはようございます」
[朝蔵 大空]
「うん?」
何故か卯月君の様子が少しおかしい気がした。
なんでだろ、別にいつもと同じようにしてるのに。
そして休み時間。
[卯月 神]
「……朝蔵さん」
[朝蔵 大空]
「うーん?どうしたの?」
突然、卯月君が私の右腕を引っ張る。
[朝蔵 大空]
「え?何?」
[卯月 神]
「どうして他の天使に触れさせているのですか?」
[朝蔵 大空]
「は、はい!?」
他の天使ってもしかして、リンさんの事?
触れたとか、そんな……分かるものなの?
[卯月 神]
「……やっぱり他の天使の匂いがする」
まずい、卯月君なんか怒ってる。
今朝ミギヒロが消臭してたのに、それでも分かっちゃうものなんだ。
人外って人間より鼻が良いんだな、私は何も分からないのに。
[朝蔵 大空]
「え?…………ごめん卯月君ちょっと聞いてもらえる?」
[卯月 神]
「なんですか?」
苛立ちながらも話を聞こうとしてくれる卯月。
早く弁明を……。
[朝蔵 大空]
「こ、これは違うの!浮気とかじゃなくて……」
[卯月 神]
「別に僕はそんなのは疑ってませんよ。なんですか?逆に怪しいですよ」
やばいなんか選択肢間違えたっぽい!
え、なんでこんな怒ってるの?
[永瀬 里沙]
「ちょ、なんか今凄い言葉が聞こえてきたんだけど?なになに!何があったの?」
出た、じゃじゃ馬里沙ちゃん。
私にも何がなんだか……。
[卯月 神]
「なんでもないです」
里沙ちゃんに即答する卯月君。
[永瀬 里沙]
「え、でも……大空?」
そう言って里沙ちゃんは私の方を見てくる。
よく分かんないけどここは卯月君に合わせた方が良いよね。
[朝蔵 大空]
「あ、うんなんでもないよ」
[永瀬 里沙]
「えー」
里沙ちゃんは納得のいかないと言った感じで自分の席に戻って行った。
それからは卯月君とは気まずくて喋れなくなってしまった。
まあ元々彼とはあんま喋んないけど。
……。
[永瀬 里沙]
「ねぇ、なんかさっき喧嘩してなかった?」
今は里沙ちゃんとお昼タイム。
[朝蔵 大空]
「いやぁ私にも何がなんだか……」
でも卯月君、別に疑ってる訳じゃないって言ってたし、私悪くないよね?
[永瀬 里沙]
「ちゃんと話し合った方が良くない?目すら合わせてないみたいだけど……」
[朝蔵 大空]
「だ、大丈夫だよ。なんとかなると思うから……」
[永瀬 里沙]
「ふぅん、そう?」
と言っても、放課後ぐらいにまた卯月君と話そっと。
……。
[リン]
「は、離せー!」
柱にグルグルに縛れ、身動きが取れない状態にされるリン。
[卯月 神]
「どう言うつもりですか貴方」
[加藤 右宏]
「そうだ!そうだ!オレ達の計画を邪魔しに来たんダロ!」
そしてその犯人は以上のふたり。
[リン]
「あっ貴方達が企んでる事は大変な禁忌になります!これがバレれば貴方達ふたりとも地獄の牢獄行きですよ!?」
強い口調のリン。
[加藤 右宏]
「だからバレないようにやってるってーノ!!」
[リン]
「いやいや!ミギヒロ様!つい先日に大衆の前で貴方飛びましたよね?」
[加藤 右宏]
「あ、あの時は……急いでたから」
急に弱気になるミギヒロ。
[リン]
「自分は、常にソラ様を見守っております。なので貴方の事も当然……」
何故か誇らしげなリン。
[加藤 右宏]
「あ、あの時は教えてくれてアリガトウだよ」
[リン]
「はい!水晶でいつでも!」
[卯月 神]
「お風呂も?」
[リン]
「当然!」
リンが元気良く答える。
[卯月 神]
「ただの変態じゃないですか」
[加藤 右宏]
「ただの変態じゃないか!」
声をハモらせる卯月とミギヒロ。
[加藤 右宏]
「こいつ、大天使だからってやりたい放題なんだゾー」
[卯月 神]
「とりあえず、今日の口止め料です。」
ある食べ物に目を輝かせるリン。
[リン]
「あ!"みてるおまんじゅう"!」
『みてるおまんじゅう』。
老舗、『
数量限定で毎朝秒で売り切れてしまう。
[リン]
「ムシャムシャ……ま、まあ今日の所は良いでしょう。ムシャムシャ……旨い」
[加藤 右宏]
「単純だな……」
つづく……。
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