転生先で、俺は王女への忠誠心を示そうとした
Sui
対ネージュ戦争
第1話 よくある話
よくある話の展開に、次のようなものがある。
ある日、冴えない、童貞の大学生主人公は、出先からの帰り道に不慮の事故に遭遇してしまう。そこで死を悟った主人公は、しかし目を覚ますと、異世界に転生していた。そこでは自分だけが、周りと違う最強能力を手に入れることができ、その能力を駆使して無双していく。気づいた時には、周りに頼れる仲間や、かつての世界では話すことすらできなかっであろう美女とお近づきになっている。
さて、ここで問題です。このような御都合主義の物語に、俺は巻き込まれたと思いますか?
シンキングタイム、スタート!
いや、違うか……。そもそも、この問いに対する答えが否定されるようなことがあれば、その時はこの物語の終焉を意味する。
そう、見事に、俺、
この場合、俺は喜ぶのが筋であると思うだろうか? 読者の中には、もしかしたら羨望の眼差しで俺のことを見る者もいるかもしれない。しかし、どうやら今回はそういうわけにもいかないようだ。
なぜなら俺は転生先で、自分の能力をある一人の女性のためだけに使うことを義務付けられていたからだ。この世界で、自分の能力を誇示して、世界最強を目指すことはできない。あくまで、一人の王女のためだけに、俺は剣を振らなければならない。それも気の強い、まったく素直になれない王女のために……。
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