わがまま

第1話

寒い

とても、寒い

今年の冬の精霊は、とても働き者の様だ

（怠けていいのに）

「どんなに暑くても我慢します。早く夏になれ」

そう、思う

「わがままだね」

「どうして？」

「昨夏の猛暑の時は、『早く冬になれ』と言ってたのに」

忘れた

「本当、君ってわがままだね」

「そういう君は、思わないのか？」

皮肉を言ってくる彼女に尋ねる

「私は、そんなわがまま言わないよ」

「どうして？」

「四季があるっていいことだもん」

彼女はふんぞり返る

「本音は？」

「早く夏になって、海で泳ぎたい。

私の、水着姿でビーチの男性を虜にするんだ」

「誰も見ないよ」

「何か言った？」

「いえ？何も・・・」

やはり、彼女もわがままだ。