一章

「もう時間か……、よし、今日の授業はここまで。次は起動訓練だな。各自、遅れないよう気を付けろよ」


講義を終えた教師は、生徒達に声をかけ教室を後にする。


生徒達が、次の講義の為に移動しようとすると、威厳のある声と共に、校内放送が室内に流れた。


『…アイビー1等軍曹、オリビア2等軍曹、ダン3等軍曹、以上三名は、至急司令室まで来るように』


「最悪……、ダン、あんた何しでかしたわけ?」


そう言って、ダンに非難の目を向けた少女の名はオリビア。


清涼感溢れる翡翠色の髪と眼をしたアイビーとは対照的に、情熱的な赤色の眼と髪が印象的な少女である。


「何もしてねぇよっ!!お前らこそ、何かやらかしたんじゃないのか?1等軍曹様と2等軍曹様の優等生コンビが呼び出されるなんて、滅多に無いことだと思いますけどね」


「…ダンもオリビアも、そういうのは後にして。緊急の呼び出しなのよ、今はとにかく向かう事が先決」


今にも掴みかかりそうな勢いの二人を、アイビーが静かな声で宥める。


「あ…、ごめん、アイビー…」


「良いの。ダンが、いつも何かやらかしてるのは事実だし。日頃の行いを少し省みた方が良いと思う」


「ちぇっ、結局オリビアの肩を持つのかよ…」


ぶつくさと愚痴を言いながらも、二人と共に、ダンは司令室へと向かって行った。

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