一章

国の中心に位置するこの都市では、他国との交流が盛んに行われていて、富も技術も、全てここに集約していると言っても過言ではない。


事実、富裕層はここ中央都市に集まり、そこから外れた貧民街に住む人達は、中央都市に住む人達を、揶揄の意味も込めて、『中央の奴ら』と呼んでいる。


しかし、何も金を持っている人だけが、ここ中央で生活をしている訳ではない。


中央に設立された学園では、どういう基準かは知らないが、塀の向こう側にある貧民街から、少年少女を引き抜いては入学させ、ここ中央で生活させている。


その学園の名は、キニス中央学園。


中央で暮らす人々は皆、炎の移植手術を行っているが、キニス中央学園に通う生徒達も例外では無い。


中央の人々に言わせれば、今時、炎を頭に剥き出しの状態で灯しているのは、ダサいし安全面にも欠けるらしく、炎を胸の中に移植した彼等は、頭上で炎を揺らしている貧民街の人々を差別している。


郊外で暮らす人々からすれば、生来より備わりし炎を、人の手で切除し、移植する行為は、神が与えてくれたものを穢す行為に他ならないとし、中央の人々を激しく非難していたが、最近は、そういった声も若干鳴りを潜めているように思える。


何でも、中央の役人達が、非難の声を上げるシスター達を、密かに処理したとかどうとか……、


それが真実かどうかは分からないが。

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