第15話 『山葡萄』

色無き風に

山葡萄が染み込む


山葡萄を積み

ジャムを作る


洗い立ての風に

山葡萄が揺れる


今年の山葡萄はどんな味か

毎年、季節と自然とに鍛えれるので味が違う


少年が言った

辛い一年だったけど

豊作だね


わたしも応える

美味しいジャムが出来そうだ


ジャムに

少年とわたしの想いを詰め込む

甘さは控えめ


洗い立ての風に

山葡萄が揺れる

わたしと少年は

この街に住んでいる


地図にも観光案内にも載っていない街だ


色無き風に

山葡萄が染み込む


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