第6話 『律儀な海』
バスに乗っていた記憶しかなかった
バスは
誰もいないバス停も止まる
誰もいなくても発車時刻が来るまでバスは待つ
僕はバスのこの律儀さが好きだ
バスに乗り、海へ行く
夏でも冬でも
海はいつ行って波をうている
僕が見ている時も、見ていない時も、海は波打っている
律儀な海だ
僕は、どこまでも律儀な海へ向かう律儀なバスに揺られている
不真面目な僕を乗せてくれるバス、待っている海と波
バスの降車ボタンを押して降りる
知らない街
知らない街には知らない風が吹いているはず
知らない友人にも出会えるはず
バスに揺られてみよう
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