i love you

駆け落ちごっこ

「なぁ、俺、自由なんて幾らでも捨てられるんだよ?」

「…無りだよ…私、そんなに強くなれない…」


月が出ていた。



高校生の時だっただろうか…。2人で駆け落ちごっこをした。あの夜に見た月も今日とよく似てた。

ケータイなんてなくても、手を繋げば、あの時は確かに繋がってた。

あの夜、何処までも、何処までも、行ける気がした。

それ以上を、望んでしまう私が怖かった。



「覚えてる?絢斗けんと

「ん?」


別れ話をしている事を一瞬忘れて、想い出した。


「高校一年…二年だったっけ?駆け落ちごっこしたの」

「…あぁ…そう言えば…」


そう言うと、絢斗は少し笑った。


泣き疲れ、絢斗を見つめて言った。


「あの夜に戻れたらいいね」

「…戻れないような言い方だな…」

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