サキュバスな姉の弟悶々日記
りつりん
第1話 風呂を覗きたいサキュバスな姉
「おかえりなさーい」
「ただいま。お姉ちゃん、今日も早いね」
「そうかな? 気のせいじゃないかな?」
「んー、だって前は生徒会に部活にって帰ってくるのいつも六時過ぎてたじゃん」
「ふふっ。たまたまだよ。私だって家でゆっくりしたい時もあるの」
「そっか。じゃ、俺は友達とゲームやるから」
そう言うと弟は自室へと行ってしまいました。
中学二年生になったばかりの弟。
まだ身長も低く、私の首元ほどしかない弟。
そんな弟の去り行く姿を見ながら私は垂れそうになる涎を拭い、下半身の疼きを抑えるように股をきつく締めました。
「ふはああああん。たまらん……」
涎は垂れました。ついでに下半身もごりごり疼いています。
「どうしたらいいの……」
私は弟に嘘をつきました。
最近私の帰りが早いのは、弟の近くにいるためです。
弟の近くに少しでも長くいるために、私は生徒会と部活を止めました。
後悔は微塵もありません。
そんな私こと神木瑠々はサキュバスです。
ただ元は人間です。
でも先祖にはサキュバスがいるようです。
母から聞きました。
そう、私はほとんど人間なのですが、どうやらサキュバス要素が濃い目マシマシの人間なのだそうです。
でも、サキュバスと言っても所詮は先祖返り薄め。
ほとんどの男性には興奮しません。
家系ラーメンの方がよっぽど私を興奮させます。
なのでサキュバスだと分かった後も特段問題なく過ごせていました。
しかし、そんなある日、大きな問題が起こってしまいまったのです。
それは、弟が風呂上りに上半身裸でリビングに入ってきた時でした。
「もー、洸太も中学二年になったんだから少しは恥ってものを……」
家の中でだらしない恰好で過ごそうとする弟に軽く苦言を呈そう。
生徒会でも部活でも品行方正、質実剛健さをモットーに高い評価を得てきた私は家の中でも常にきちりと過ごしてきました。
しかし弟はどちらかといえば家の中ではだらしなく過ごす方。
そんな弟を少しでもしっかりとさせたい。
そう思い弟の方を見た私。
弟の露わになった上半身を見た瞬間、私の下半身は総動員で疼きまくったのです。
そして瞬時に脳と体が理解しました。
「う、嘘……。こんなことって……」
私は、弟にだけ異常に欲情してしまうことに気づいてしまったのです。
それはとてつもない衝撃と絶望でした。
もしこれが通常の男女仲なら問題なかったのでしょう。
でも私と弟は兄弟。
十年以上も培ってきた姉弟としての絆と道徳観はそう簡単に壊すことはできないのです。
決して一線を越えるようなことがあってはいけないのです。
姉として築いてきた信頼を失うようなことがあってはなりません。
洸太も私を姉として慕ってくれています。
そんな彼を裏切ることなど絶対にしたくありません。
だからこそ私は考えに考え抜いたのです。
どのようにすれば弟でこの欲を発散できるのかを。
発散しない方向はありません。
ていうか無理です。
発散しないとたぶん爆ぜます。
そのために倫理観は多少溶かしても問題ないはずです。
そしてそこから一か月近くも考え続けました。
疼きに疼く下半身を必死に抑え込みながら。
そして私が行きついたのは「道徳的配慮」でした。
世の中のことって道徳的配慮って言葉を冠すればだいたいのことは問題なしになるのです。
道徳的配慮遅刻。
道徳的配慮課題忘れ。
道徳的居眠り。
そう、道徳的配慮さえすれば、非道徳ギリギリのラインで弟を楽しんでもいいのです。
私はそう結論づけました。
異論は挟ませません。
私は早速行動に移しました。
夕刻。
洸太がお風呂に向かいます。
私はそれに気づかないふりをしてスマホをいじっています。
これから私は道徳的配慮風呂を実行します。
そう、私はたまたまとてもお風呂に入りたくて、弟が入っていることに気づかずにお風呂に侵入してしまうドジっ子な姉となるのです。
「なんて完璧な作戦……」
もちろん、考えただけで濡れています。
ここで濡れずしていつ濡れろというのでしょうか。
私にはわかりません。
「楽しみすぎる……」
まずは弟の諸々を見ないと始まりません。
話はそれからです。
私は、弟が湯船につかったタイミングを見計らい、素早く衣服を脱ぎ捨てお風呂に突撃しました。
「今日も疲れ……ふなあああああああああああ!」
瞬間、悶絶。
卒倒。
「お姉ちゃん⁉」
「こうにゃ……」
私は油断していました。
道徳的配慮というラベルを張りだけに気を取られていた私。
しかし弟の肉体、そこから発される匂い、その全てがサキュバスな私にとって刺激つよつよだったのです。
そんな私が欲情対象の弟のあられもない姿をまともに見て無事なわけがありません。
でも負けるわけにはいきません。
この欲情をしっかりと道徳的配慮しつつ発散するために負けわけにはいかないのです。
この日から、私は道徳的配慮と弟への欲情をうまく両立すべく奔走することになるのでした。
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