第2話


王都の中心街

ここには大陸全土より集められたあらゆる物が並ぶお店や露店が数多く並んでいる

その中心街から少し外れた場所にラドミラル王立学園がある

本日より二日間、入学するにあたっての試験が開始される

試験時間は朝、昼、夕の好きな時間帯から選べるようになっていて、家庭事情に配慮されている


試験とは言っても合格、不合格は無い

単純に今の実力を測る為の試験

学費を払えば誰でも入学できるのがラドミラル王立学園の良い所

逆に帝国などは完全実力主義

いくらお金や人脈があろうが実力が無ければ

入学できない


更にラドミラル王立学園の良き所は学費が払えない家庭でも通えるように利息無しでお金の貸付をしている

月に払えるだけ払う、支払い未納の月があったとしても延滞金無し、催促無し

……凄く良い事なのだが、それが原因で回収しきれない為、王様の懐が毎月寒いのを知っているのは王国の一握りの人のみである【ノアは知ってます】


試験一日目、筆記


「それでは試験始め!」


教室に集まる人達が一斉に書き始める


軽快に次々と問題を解く者


頭を抱えながらもゆっくり解く者


解らない問題を飛ばして解く者


そして……初手から寝ている者


試験担当の教師はカンニングが無いように各席を見ながら歩く





二十分後……


一人の受験者の手が止まる

解答用紙を再度見直し用紙を裏にして目を閉じている


「どうかしましたか?」


試験官が不思議そうにその受験者に話しかける

話しかけられた受験者は目をパチっと開ける


「いえ、解答し終わったので残りの時間は何しようかと考えてました」


試験官は時計をちらりと見る

試験が始まりまだ二十数分しか経っていない


早すぎる…カンニング?


いや、他の生徒はまだ最後まで解けていない

それにこの試験問題は教師でも三十分はかかる

簡単な問題が多いが、数問は教師でも考えるような問題がある

まだ学園に入学していない若者が全て解ける訳がない


「…答案用紙を見せてもらいますね」


試験官は答案用紙を回収し確認する


…全て回答欄は埋まってますね

とりあえず回答欄を埋めただけ?


「…終わってるようですので、後ろのドアから退出して大丈夫ですよ」


試験官は答案用紙を裏にして元に戻しながら話す


「では失礼させてもらいます。ありがとうございました」


受験者はペコッと軽くお辞儀をして部屋から出ていくのを見終わると試験官は受験者の番号を確認し名簿を見る


「ノア君ね…」

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