『真夜中のドライブ』

@horai_japan

第1話『真夜中のドライブ』

スタン・ゲッツのCDを聞きながら、真夜中をドライブ。


外は雨。


道路を照らす車のライトに時折、野良猫の目が光る。


街を出るところ。


街外れで、ガソリンを満タンにして、郊外の道を走る。


雨はフロントガラスを叩く。


スタン・ゲッツが夜を揺さぶる。


街から出て10分後、一人目の男が道路で僕を待っていた。


「はい、地図はこれだよ。」


僕は地図を受け取り、次の目指す街を探した。


その街の前にはイヤな長いトンネルがあることは知っている。


1週間前に叔父が亡くなり、遺書が発効された。


そこにはこう書かれていた。


「私が死亡してから、1週間後に街を出よ。そして、1週間以内に私が残した謎を解けば、遺産を全て相続する権利を与えよう。」


ミステリー好きの叔父がやりそうなことだった。


1番目の男から地図を貰い、次の目標地点へ向かう。


山間の細い道を、車が揺れる。


やがて、イヤな長いトンネルが見えてきた。


このトンネルはいつも、僕に悪夢を見させる。


しかも、それは1ヶ月は続くような悪夢なのだ。


だから、普段は僕はこのトンネルを避けて、遠回りをして隣町へ行っていた。


だが、今回だけは、そうもいかなかった。


叔父の残したルートでは、必ず、このイヤなトンネルを越えないといけない。


僕はスタン・ゲッツをフルボリュームにして、トンネルに向かった。

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