(二)訃報

翌日の夕刊に、K先生の訃報が報じられた。青年漫画史を語るうえで欠かせない傑人の訃報ともあって、それは紙面全体を大きく飾る。


“実家兼、制作スタジオのデスク前で、本日未明、薬物大量摂取で死亡。警察の調べによると、自殺で間違いないとのこと。”


以前から未遂の噂が絶たなかったのもあって、大勢がこれに納得した。


無論、女もそうだった。納得して受け入れた。が、しばらく日が経ってから唐突に実感する。


道端で膝から崩れ落ち、K先生の名前を何度も繰り返しては、そのせいでまた泣き崩れる。


幸か不幸か、偶然すぐそこにいた警官が彼女に気づき、女はそのまま交番へ連れていかれた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る