第73話 うなぎぽいので蒲焼き②
焼き過ぎず、しかしながら丁寧に焼いていく。
軍手をスインドさんの何でも屋さんで購入したので、串を持ちつつ……ある程度焼けたらひっくり返すんだけど。
(……やっぱり、かっこいいなあ)
スインドさんの横顔。
体格は大柄なんだけど……それに見合うくらい、綺麗で整った顔立ちをしていらっしゃる。
肌はちょっと日焼けしてるけど……すべすべしてそうだし。
まつげの方も、長くてバッサバッサ。私にはないものばかりだわ。二十代なのに……私だなんて、こっちじゃ子供に勘違いされるくらいちんちくりんだもん!! スインドさんの横に立ってたら……ただの玩具人形でしかないわ!?
は、さておき。
だいぶ焼けたので……即席ダレを入れてある壺に、焼けたニョロギアをそのまま投入!
「入れてしまうのか?」
「軽く浸すくらいです」
師匠達が調理していたのを……見様見真似だけど、やってみないことにはわからない。
スインドさんの担当分も入れたら……また炭火の上で、タレが焦げ付かないように焼き、それを試験段階なのでもう一度繰り返したら。
「……これが」
「……多分、出来ました。蒲焼きです」
見た目だけなら……悪くはないと思う。
問題は……味とか食感なんだけど。どこまで、うなぎの蒲焼きに似せることが出来たのか。食べてみないとわからない。
と言うことでだ。
「にゃ〜! にゃ〜!!」
とりあえず、まだ使い物にならないクレハにひと口食べてもらおう。菜箸で、柔らかく切れた蒲焼きをつまみ……ゴロゴロしている彼女の前に持っていく。
「クレハ〜。出来たわよー」
「にゃ!? めちゃんこええ匂い!?」
「熱いけど、食べる?」
「食うにゃー!」
パクっと、菜箸の先端までかぶりついてくれた。すぐ離れると……むぐむぐと口を動かすのが、美少女なので可愛いわね。
「……どう?」
クレハの下ごしらえのお陰もあるから、そこまで臭いとかはないと思うんだけど。
少し心配になったが……クレハはネコマタの尻尾をぶんぶんと左右に振ったわ。
「や、柔らか!? 臭いもほとんどないわぁ!? なんなん、この味わい!? 甘……辛? 今までヒロの料理食べたけど、全然違うわぁ!! これは……これは、酒もええけど!!」
「ふふふ。
「それにゃ!!」
既に、ニョロギアを取りに行く前に浸水はさせておいたので……炊飯も焼きの時に同時進行させていた。
なので、起き上がったクレハにもだが……全員用にと『蒲焼き丼』を振る舞うことにしたわ!
「くぁあ!? さっきから漂ってたけど……めっちゃいい匂い!!」
「お待たせ致しましたー」
私とかもお腹が空いたので、お昼ご飯も兼ねて食べることにしたわ。
普通のお箸はないから、フォークとスプーンで。ちょっと異質な組み合わせだが……ないものはしょうがない。
いい匂いがお店の中を充満していくが……外に漂ったらどうなるか。
ユキトさんもだけど……また長老おじいちゃんも来ちゃうかな?
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