第7話 異世界最初のジビエ
じっくり、しっかり焼けたボアの肉は……。
文字通り、最高に美味しそうな出来栄えになっていた!!
別の串で、火の通り加減を確認して……出来上がっていたら、クレハと頷き合い。
クレハは串を浮かせ、私は熱いけど頑張って端を持ち……それぞれ食べることにした!
「いただきまーす!!」
「……なんや、それ?」
「え、こっちにはない?」
「わざわざ、飯食うのに挨拶必要なん?」
「うーん。私のいたとこでも一部の国とかだけど」
まあ、日本でも『いただきます』とかは比較的最近の習慣だって聞いたことはある。
それよりも!
今は、目の前のご飯!!
思いっきりかぶりつくと……熱いけど、思った以上に柔らかくて肉汁があふれてきた!?
焼き加減もジューシーに出来たし!
これは……お店出せるレベルかは自分ではわかんないけど、良い出来だとは思う。
何故なら、
「な、なんや!? この肉の柔らかさ!? 塩の味わい!! 臭みもほとんどないで!? なんや汁あふれてくるけど……うんま!?」
猫ちゃんが肉を食べるだなんて、日本とかじゃあんまり見たことないけど。クレハは猫又ちゃんだし、こっちだと『アヤカシ』ってモンスターの一種らしいから……肉食べるのも不思議じゃないかな?
私が逃げてなきゃ、六角ボアのことは自分で食べようとしていたらしいし……生で。
獣だから……生肉でもいいのか、そうか。
だけど、一緒に調理したお肉を本当に美味しそうに食べてくれている。私以上に食いっぷりが凄く……あっという間にひとつ食べちゃってた!!
「……お気に召した?」
「せや! 焼いた肉がここまで美味いとは!! ヒロ、あんさん凄いなあ?」
「……うーん。師匠達には遠く及ばないけど」
でも、異世界でお店を開くって……美女神様からお願いがあった。
技術とかは未熟な部分は多いけど……初対面の相手に、ここまで喜んでもらえたのなら。
少しは……自慢してもいいのかな?
「ほーん? こないに美味いもん作れんのに、自慢したりせんのやな?」
「まだまだ修行中だったもん」
「そないなとこやったのに……こっちに連れて来られたん?」
「うんそう。……神様に」
クレハは人間じゃないけど、ちょっと気だるいかんじのお姉さんぽいからか……つい、いろんなことが話せちゃう。
とりあえず、焼いた分を無駄にしないように……ボアの串焼きは二人で全部食べた。クレハは胃袋の限界が私と違うのか、私より三本多く食べていた。
「と言うと……ヒロは神からの使徒なん?」
「使徒?」
「御使とも言うんや。わからん?」
「……派遣された人間?」
「んー、多分な?」
腕を治してくれたからのお願いが、ジビエ料理のお店を開くことって言ってたけど。
お腹はいっぱいになったが……これからどうしたらいいんだ??
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます