第5話 お互いの自己紹介
「……私は、
相手は猫又ちゃんだけど、コミュニケーションはしっかりしなくちゃ。
焚き火を囲んでいるので、向かい側に座っている猫又ちゃんは何故か首を傾げたが。
「ヒロ……クワ? ヒニョァ?」
「あ、言いにくい? じゃ、ヒロでいいけど」
学生時代以来呼ばれていないから、ちょっと懐かしい。
言ってみると、猫又ちゃんは首を縦に振ってくれた。
「うむ。その方が良い。ヒロ、あちきはクレハと言うんや」
「おお! カッコいい!」
「そうかい?」
なんか、ちゃん付けするのが恥ずかしいくらいかっこいい!!
妖怪なんちゃらのヒロインと言うか、戦う女戦士みたいな?
言うほど、あんまりサブカルチャーの知識は持っていないから、ざっくりとしたのしか知らないけど。
クレハは前足で軽く顔を擦っていたから、褒めたことに照れているかも。
「じゃ、名前はわかったけど……クレハ、信じられないけど。聞いて欲しいことがあるの」
「なんや?」
「……私、この世界の人間じゃないの」
「……ほぉ?」
正直にまずそれを言うと、クレハの猫目が鋭くなった気がした。
警戒……と言うよりは、興味のように見えたのは気のせいかな?
「服装もこんなだし、さっきの解体までの知識。あと、魔法の存在がなかった世界だったのよ」
服はパーカーにジーンズとスニーカー。
女らしくないが、あの美女神様に助けてもらう前の格好だったから仕方がない。
出来れば……信じて欲しいとクレハから目線を逸らさないで見つめれば、彼女はふっと目を細めた。
「あいわかった。その目を信じようや。あちきも下手に追求する阿呆にはなりとうない」
「……ありがとう」
ちょっとでも……信じてくれるのはありがたかった。
「であれば、六角ボアの対処法も知らずに逃げておったのにも納得出来たわ〜」
「え?」
「あやつの対処法は、木に登って飽きるのを待つだけ。赤子でも知っておる常識や」
「……えー?」
私が猟師さんから習った対処法が正攻法じゃない?
赤ちゃんが知っているのは誇張表現にしても……そんな簡単なことでいいんだ?
次は出来れば、出会いたくないけど。
「ほっほ。ヒロはおもろいなあ? そやったら、あちきらの常識が通じぬのもどおりで。あの臓物の処理は逆に惚れ惚れしたわ〜」
「へ?」
「あちきらにとって、肉はすぐに食えれば良いもの。それが……あんさんは様々な手法で肉をより良いものにしようとした。それは……人間がすべきことじゃが、ここまで丁寧にするのは見たことがない」
「……そうなんだ?」
こっちの世界にも人間がいるのにほっと出来たが……料理法が色々違うのかな?
異世界だから……多分色々違って当然だろうけど。
とりあえず、お腹も空いてきたのもあり……クレハと協力して、お肉を解体することにした!!
ダニ対策とか、水切りとか色々必要な手順はあるけど……説明したら、クレハが魔法でなんとかしてくれるって!
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