第3話 鑑定
「...はぁ」
彼らが去った後、私は手元に残された《鉄屑》を眺めため息をつく。
全財産の殆どを奪われ、これからどうしよう。いかにジョブ【商人】がカンストした限界値に達した私でも元手がなければ仕入れも出来ないしそれを売り利益を上げることもできない。
(...ミノルは「次は」と言っていた。ってことはまた私に集りに来る。多分、要求に応えられなくなった時が私の最期だ...何とかして稼がなきゃ...)
本当ならば奴らから逃げられれば一番良いんだけど、それは戦うことの出来ない商人の私にはかなり難しい。
街の外にはモンスターがいるから、ミノルらに殺される前にそいつらに殺られる。
(...商人もバトルステータスあれば良いのにな。まあ、どのみちレベルの高いミノル達には勝てないけど)
だめだ、考えれば考えるほど気持ちが沈んでいく。完全に詰んでいるこの状況に明るいが取り柄の私、アカリの笑顔も曇りそうだ。
...リアルは引きこもりだけど。
っていうか、ログアウト出来なくなった時は嬉しかったんだけどな。このゲーム世界に転生したかのような気持ちになってさ。現実世界は辛いことばかりで、帰らなくて良いと思うと心が軽くなって全てが輝いて見えたのに。
(...せっかくジョブも限界値に達したのに...はあ)
実は私はこの世界のトップクラス商人である。超レアなユニークスキル【審美眼】持ちのつよつよ商人なのだ。
ユニークスキル【審美眼】とは!
・魔力感知能力があがり視る力が強化される。鑑定の上級スキル(良品には魔力が込められていることが多く買い取りの際役立つ)
・残留思念、呪いが視え触れられるようになる(アイテム、装備に限り呪いを解呪できるようになる)
・作物がよく育つ場所を発見する事ができるようになる。
・ダンジョンやフィールドで隠しエリアを発見する事ができるようになる。
・他プレイヤーやモンスターの情報を強制開示、視ることが出来るようになる。ステータスは不可。
・アイテムボックスという手のひらサイズの小さな箱を出現させ使うことができるようになる。(結構頑丈)
と、まあ様々な力を秘めている!
このスキルは、商人のレベル80到達+総資産3億G+《交渉》等複数スキル獲得+特定ステータスが一定値に達した者に与えられるチート級のスキル!
特に《アイテムボックス》はいくらでも物が収納できて商品の持ち運びや管理、倉庫費用等の悩みを解消してくれる!!
まあ、今の私には何の意味も無いけどね!!はっはっは!!
え、そのアイテムボックスに物入れてなかったのかって?いや、入れてたよ商品やアイテム。
でも供給先であるミノルらから物が入ってきてないのに疑問を持ちながらもアイテムボックスの在庫を全部売ってG金に換えてしまったんだよ!
いや、わかってる!アホかお前と言いたいんでしょう?
私が一番思ってるよ!アホか私はーーーっ!!後先考えろっ、ばかーっ!!
...はあ。さて。さてさて、そんな事を言ってもしょうがない。生きるために何か考えなければ。
てか、この《鉄屑》って...結局なんなんだ?ちょっと鑑定してみるか。
「ほい、鑑定っ!」
《鑑定結果》
◇戦姫ノ
「え、この鉄屑...刀、なの?」
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