冒険者はじめました

新たな冒険（ゆめ）の始まり

　それはある者にとっては娯楽。

　それはある者にとっては生き甲斐。

　それはある者にとっては人生そのもの。

　“ダンジョン”は魅力に溢れている。

　世界共通の敵である魔王が倒されてからほんの十数年。魔王率いる魔族たちとの戦いを終えた【勇者】や冒険者たちは無気力になったり、横暴にふるまったり、つまりは使うことがなくなった“能力（スキル）”を持て余していた。

　そして脅威がなくなった途端に、今度は国同士が戦を始める始末。

　皮肉なことに、魔王という共通の敵があった時の方が世界のバランスは保たれ“平和”であったと言えるだろう。

　それは苦肉の策だったのかもしれない。

　女神サマは魔王が魔界で創造していたダンジョンの数々をこちら側の世界に転移させることを思いつき、すぐにそれを実行した。

　これに冒険者たちは食いついた。

　国同士の争いに使われていた武器は、ダンジョンに潜るための冒険者たちに提供された。経済が回り始めることによって国同士が争わずとも十分に潤った。冒険者たちが持ち帰ったアイテムは資源となり、世界を潤した。

　ダンジョンは女神サマの手によって今もなお、『成長』を続けている。

　新たな冒険（ゆめ）は果てしなく続く。

　これは冒険（ゆめ）に生きた、冒険者たちの物語だ。