第28話 再び1
「ルーナの男性の好みってどんな人なの?」
「真面目で優しい人が好きだわ。自分勝手で自己中心的なトーマ・ラッセンみたいな人は大嫌いよ。もれなく本人もね。」
「同感だわ。」
そういえば、結婚してからまともに話をしていないわ。山小屋に来てたのはご機嫌とり、それも自分勝手な行動よ。
2人きりなのも昨日の契約の話をしたのが初めてだわ。今頃気がつくなんて、お互いどうでもいい存在でしかないわね。
それから1時間ほどで小屋に着いた。
「必要な物は後でお持ちします。奥様、勝手にここを離れないようお願いします。」
「もうすぐ産まれるんでしょ、それくらいわかってるわよ。では、サヨウナラ。」
バタン
「ほんと、嫌な感じの人だわ。そう思わない?」
「くくくっ、ルーナよくやった!」
「…どうしたの?」
小屋に入ったとたん、ミランダが笑いだした
「ルーナの男の好みを聞いた時の執事長の顔!もぉ、笑いを堪えるの大変だったわ。私達の前では何でもないようにすまして見せてたけど、腸煮えくり返ってるわよ、あれは。当主を馬鹿にされてる…ってね。」
「本当の事よ。トーマに伝わって欲しいくらいだわ。……ミランダ、もしかしてわざと聞いたの?」
わざわざ馬車の中で話さなくても、小屋に着いてからでもよかったんだし。
「その方が面白いじゃない。ルーナ、主導権はいつだって自分にもあると思ってなさい。相手がトーマ・ラッセン侯爵だとしても、今はルーナは侯爵夫人なんだから。」
「…っそうよね!」
お父様が亡くなってから義母が借金をつくってるとは思っていたけど、邸を売ればなんとかなるものだと思って簡単に考えてた。
それを売っても足りないから侯爵が払ったって事よね。
伯爵家から絶縁されるのは構わないけど、お父様が守ってきた物は壊したくない。
借金の事を聞いて少し臆病風に吹かれそうになったけど、前向きになれそうだわ!
「私もミランダのように強くならないと!」
強いだけじゃなくて、度胸もあるし頭もいいのよね。
「男性に頼って生きていくような時代も、身分の上下だけで生きていけるような時代もきっといつか消えていくと思うわ。これは予想だしすぐには来ないだろうけど、そう考えると農家弟子入りは最先端よ!!」
「……最先端ではないから。」
ルーナ…すぐに変な方向へ思考が飛ぶわね。
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