第24話 戦艦VS戦艦

憂国の使徒とかいう厨二野郎めがけて殺到する、一条と姫川の魔法。


「ふむ、なかなかの弾幕であるな…ならばこちらも!総員対空戦闘配置!…撃ちー方始めー!」


いや、そこは海自式の号令なの!?なんで!?てやべぇ突っ込んでる場合じゃねぇ。


「樹!カバー頼む!」


一条がこちらに叫ぶ…対空戦闘配置ということは飛んでくるのは25ミリと軽巡クラスの副砲だろう…ならば突っ込んでも大丈夫!


「おいさ!」


私は主砲を全砲門…反動を有効にして放つ後ろ向きに斉射する。


―ドバァッン!


そしてその反動により体が私の体が前に吹き飛び…加速する。


人の体で戦艦の主砲の反動を受け止める、普通の人間ならば一瞬でばらばらになるだろう。しかし!今の私は戦艦人間!このくらいへっちゃらさ!


私はその加速によって一条を追い抜き、砲弾を受け止めながら憂国の使徒にまで到達する。


「くらえ!戦艦飛び蹴り」


そしてそのまま、やけくそな技名を叫びながら、吹っ飛んだ反動を利用して奴に蹴りを放つ


「む!?なんと!?飛び蹴りとは!集中防御!」


そう奴が叫ぶと奴は障壁のようなものを張る。


―ガキンッ!


「かってぇ!」


私の蹴りは奴の障壁にはじかれる、マジかよ!?


「吾輩の障壁は大和型戦艦の主砲防楯並みの鋼鉄600mmに匹敵する!そう簡単には破られんよ!」


600mmの鋼鉄!第三世代主力戦車の砲塔正面並みの硬さか!?


「は!さすが無用の長物と揶揄されるだけはある!無駄に硬い装甲しやがって!その鋼鉄使って戦闘機でも造ってた方がマシだったんじゃないか!」


「ふ!皇国の一戦を制した先輩艦にそれを言われるのは少々耳がいたいではないか!?


しかし!いくら戦功で上回っていようと、性能面ではこちらが圧倒的よ!主砲斉射!」


げ、やべ!


―とりあえず、こちらも主砲を撃って相殺するのじゃ!


三笠からの指示!了解!


「主砲斉射!」


―ズガッガアアアアアアン


12インチ砲弾と46センチ砲弾が衝突し凄まじい爆発が起こる。奴め!榴弾を放ったか!


「ふむ、この距離、一騎討を所望かな、先輩殿?」


「…超弩級戦艦と正面から殴り合う前ド級戦艦がいるわけない!一条!」


「おうさ!おらああ!粉砕!」


そこで、私と入れ替わるように一条が突っ込んでいく。一条の「粉砕者」なら奴の防御を突破できるはず!


そしてそのまま一条が私を追い抜こうとした時…。


突如、一条の足元が爆発した。


「な!ぐああああ!」


な、なにが!?


「ふむ、吾輩は貴様らより先にここにいたのだ…地雷設置くらい、たわいもない」


な!地雷だと!…私は吹っ飛んできたから引っかからなかったのか!


「…卑怯な真似しやがって…」


だがいくら一条が紙装甲だといっても探索者だ、対人地雷ぐらい一時の足止めになる程度のはずっ!


「ふむ、勝者こそ正義…それは歴史が証明している!くらうがいい!」


まずい奴、この隙に、主砲を一条に斉射するつもりだ!だが!


「また相殺していやる!」


奴の副砲と対空兵装は姫川にくぎ付けだ!主砲弾さえ相殺すれば!


「ふ、甘いぞ!先輩殿!三式通常弾!斉射!」


それに対して、私も相殺すべく主砲を斉射する。だが…


―三式弾…ッ!まずい、相殺ではない、あの小僧の盾となれ!


突然の三笠からの警告、え、何が!


そして奴の放った砲弾は…私の放った砲弾と衝突する前に…炸裂した。


そして前方に大量の破片を高速でばら撒く。


―三式弾…ようは榴散弾のようなものじゃ対空用のな…


「勉強不足であるな先輩殿!」


なッ!まずい破片がっ!一条に!


「クソいきなり足元がって…グガアアアアアアッ!」


大量の破片をもろに食らい吹き飛ぶ一条。


「一条!」


「一条君ッ!」


そのまま一条は吹き飛び、そして動かなくなった!クソっ!生きてるよな!


「他人の心配をしている場合ではないぞ?先輩殿?」


そう言いながら奴が切りかかってくる。


「クソ!」


―ガキン!


軍刀同士がぶつかり合い火花を散らす。


「ぐ、重い…」


つばぜり合いになるが、こちらが一方的に押される。


「当たり前である、言っただろう?性能はこちらが優越していると、馬力が違うのだよ!馬力が!」


クソッ!一旦下がる!


私は全力で下がるが…


「馬力が上ということは速度もこちらが上であるのだよ!」


奴は下がる私にすぐに追いつき切りかかってくる。


まずいな…一条がダウンした以上、もう奴の防御を抜ける手立てがない!ジリ貧だ…。


―ふむ、これは…このままではチェックメイトじゃな―


なっ、三笠!何を突然!


―なに、事実を言ったまでじゃ―


確かに…だが!


―だがも何もないのじゃよ…故に後はお主次第じゃぞ?―


私、次第?


―絶対絶命のピンチ…まさにおあつらえ向きじゃろ―


は?なにが…


―秘めたる力とやらが覚醒する展開に…のう―


秘めたる力?そんなものッ!


―あるじゃろう?鈍いのう…「代行者」―


代…行者?


その時、私の脳裏に久しぶりにあの声が響く。


―個体名「小池樹」の使徒スキル「代行者」の発現を承認…―

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