美少女になったので、家の蔵にあったダンジョンを探索します。

@TOKAGE123

第1話 TS

8月、夏真っ盛りな炎天下の日だ。


田舎の太陽ってなんか都会より近い感覚がする。てか、あちい。


そんなことを考えながら俺はあぜ道、山道を歩き目的地へ到着した。


俺の名は小池樹、14歳の現在、中学二年だ。


現在、キャリーバック片手にド田舎の日本家屋の冠木門の前に立っている


塀の奥を覗いてみると中に蔵があるのが見える。ていうかでけぇな…。


なぜ俺がこんな田舎の、電車が一両編成で一日数回しか来ないような、ド田舎もド田舎に来ているのか。


それにはまあ色々な事情があるが、まあ端的に言えば、俺はしばらくこのバカでかい日本家屋に一人で住むことになっている。


管理していた人がある程度、掃除しており家具も一通りそろっているらしいが…


この歳でしばらく一人暮らしかぁ…しかも家と家の間がかなり開いていて水田が広がるド田舎で…というか家事とか全部一人でやんなきゃならねぇのか、めんどくせー


…まあ、こんなところでうじうじしていても仕方ねぇ、とりあえず家にはいるか、暑いし。


俺は冠木門を開けて敷地に入った。


庭はかなり広い、恐らく井戸?らしきものがある。すげえ井戸なんて始めて見たかもしんねぇ…あと普通に蛇口らしきものがある。井戸、いらねえじゃん。


管理していた人から預かっていた鍵で引き戸を開け、家の中に入る、中に玄関だけだが見たところ埃も大してたまっていない。しっかり管理されていたようだ。


靴を脱ぎを奥へ進む内装はまさに典型的な日本家屋という感じだが、綺麗に掃除されている。


取り敢えず縁側に行き木戸を開け空気の入れ替えを行う。この縁側いい感じだな、昼寝とかできそうだ。


木戸を開けきったら、でかい和室に入る。中にはちゃぶ台と薄型テレビ、扇風機、でかい姿見などがある。…管理だけでだれも住んでいなかったはずなのに妙に生活感のある空間だ。


まあいい、色々手間が省けるかなら。


その後、一通り一人で住むには少々大きい平屋を見て回る、台所、トイレ、洗面所、お風呂…よかった普通の風呂だ、五右衛門風呂とかじゃない。


見て回って思ったのがある程度の生活用品は揃っている。至れり尽くせりだな。


まあ、中学生に一人暮らしさせようってんだ。このくらい揃っているか。


それから、でかい和室に入り座って。おもむろにスマホを取り出し電話を掛ける。


掛けてからしばらくすると相手がでた。


「もしもし」


「…おう、親父、俺だ」


「ああ、樹か、どうだ?」


「ああ、何とかついたぜ。ほんとド田舎だなここ」


「はは、まあね」


「あとは、意外となんでも揃ってるのな」


「まあね、管理人に頼んでおいたからね」


「そうか…じゃ、また」


「ああ、僕も仕事が終わったらそっちに行くよ。」


電話を切る。


親父は今、仕事で海外にいる。一体いつその仕事とやらが終わるのか見当がつかない。


これも俺がこんなド田舎で一人暮らしする要因の一つである。


ほかにも色々と事情があるが、まあ今はそんなことどうでもいいか。


取り敢えず…暇だ。やることがねぇ。取り敢えずテレビでもつけるか、あいやその前のキャリーバックの中を整理しておくか。


おもむろに俺は和室で傍らにあったキャリーバックを開く。


「…は?」


キャリバークの中にはこれでもかというほど、女物と思われる衣服が詰まっていた。


もう一度言おう、キャリバークの中にはこれでもかというほど、女物と思われる衣服が詰まっていた。


…!?これは…どういうことだ…まさか


「どっかで同じキャリーバックと取り違えたか?」


最悪である。しかし中には持ってきた通っていた中学の制服があった。


取り敢えず、制服を取り出してみる…これも女子用だった。


バシンっ!


制服を畳にたたきつける


「くそ、最悪だ。色々と!」


とにかくこれで着る服がほとんどなくなってしまった。これはそうそうに買い出しに行かなくてはならなくなったな。いや、最早通販のが早いか…?


考えているとなんだか、萎えてきた。いやホントにだるい事態だ。


なんかもうどうでもよくなってきた。


俺は寝っ転がり庭の方を見る。


「…お?」


「にゃあ」


なんか猫がいる。典型的な三毛猫?ってやつだ。多分。しかも縁側で丸くなっている。かわいい。


俺は起き上がり猫に近づく。


「にゃあ」


猫は特に逃げ出す様子はない。


猫を撫でてみる


「にゃあああ」


ああ、なんかこうしていると落ち着くなぁ。


俺はしばらく猫を撫で続けた。


「お前、野良か?」


「にゃあ」


なんで、俺は猫に話しかけているのだ。でもまあ、首輪もつけてないし十中八野良だろう。


「…にゃあ」


そう泣いた三毛猫が縁側から立ち上がり、庭の方へ、行ってしまった。


「ああ」


至福の時間が終わってしまった、残念。


猫はそのまま、家の裏へ行ってしまう。


確かこの家の裏には小さい山があったな。というか家の裏が山とか土砂災害が怖えな。あとでハザードマップかなんか確認しとくか。


ああ、至福の時間が終わってしまった事で現実を思い出してしまう。


…寝るか。


俺は寝室らしき場所に行き、押し入れの中にあった枕を取り出す。


そして、ついでに扇風機も持って


縁側にいく。


そして、そこに扇風機を置き、つける。そして枕を敷く


よし、ついでに一応蚊取り線香も炊いておこう。


昼寝の準備を終えた俺は、そこで横になり目をつむる。


寝て起きたら、全部解決してねぇかな…


そんなことを考えながら俺は眠りに落ちていった。










「ふうわぁああ、よく寝た」


目が覚めると、もう、夕方なようで太陽がオレンジ色で今にも日が落ちそうになっていた。


どうやら少し寝すぎたようだ。


…夕飯の準備でもするか


「全く…さて、うん?」


うん、なんか体全体に違和感が、それに、自分の声が…変だ、なんか音が高い。まるで、女の声のような…


「って、え」


なんとなしに下を見ると、なんか胸のあたりが盛り上がっていた。


…は?


…え?


そこで、俺の思考が凍り付いて。


しばらくして再起動すると。


ふ、服の中に何かいる!?


俺は慌てて胸の盛り上がっている部分をつかむ。


「うわぁ!?」


…まるで、自分の体の一部をつかんだような感触と感覚が襲ってきた。


なんか気持ち悪い!?


というか、何が起こっている!?


俺は慌てて立ち上がる。


「あれ?」


なんか立ち上がっているはずなのにいつもより視点が低い。


これは…


そうだ和室にでかい姿見があったはずだ。


俺は慌てて縁側から和室に向かう。そして姿見の前に立つ。


そこには、果たして…


女がいた。


肩までかかる艶やかな黒髪、前髪はまつ毛のあたりまでで綺麗に整えられており。


目鼻立ちは綺麗に整っている。


姿見にはぶかぶかのTシャツをきた、気弱そうな顔に驚愕の表情を浮かべる小柄な、美しいと形容できる少女がいた。


もう一度言おう、少女がいた。


は。


は?


「はあああああああああああああああっ!?」


古い日本家屋に推定俺な美少女の絶叫がほどばしった。


「にゃ~」


いつの間にか戻ってきていた三毛猫がそう鳴いた。




















どうなっている?どうなっている?どうなっている?


俺は混乱した


もうわけがわからない。


何度姿見を確認してもそこにいるのは気弱そうな小柄の美少女


何度、確認しても変わらない。


そこに本来の背が高く若干目つきの悪い男の姿はない。


あるのは少女の姿。


落ち着け俺、冷静になれ


これは



もう


受け入れるしかない。


どうやら、俺は突然、女になってしまったようだ。



夢かな?


頬をつねってみる、痛い、よって夢ではない。どうやら現実のようだ。


もう一度姿見を見る。そこにはやはりどこか気弱そうな少女が


…本当にどうなってやがる


そこで、俺は、思い出した。


昼寝する直前に


そう、昼寝する直前に「寝て起きたら、全部解決してねぇかな」と考えたことを。


和室に開けっ放しにされた、女物の詰まったキャリーバック


そして、俺は現在、女である。


…つまり、問題はある意味、全部解決しているといえる。



確かに俺は「寝て起きたら、全部解決してねぇかな」と考えた。


しかし


これは


これは!


神様


もし存在するなら神様!


これは


これは!


「違う!色々とちがあああああああああう!」


古い日本家屋に推定俺な美少女の絶叫が再びほどばしる。


「にゃ~」


いつの間にか戻ってきていた三毛猫がのんきそうにそう鳴いた。


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