すずめの恩返し

夕日ゆうや

すーちゃん!

 山道を歩いていると僕は羽に怪我をして動けなくなっているすずめを見つける。

 僕は母さんに聞いて家ですずめを保護することにした。

 名前はすずめの〝すーちゃん〟。

 換毛期だったのか、羽毛が大量に出てくる。

 僕は掃除機で掃除をするのが習慣になった。

 二週間すずめを保護して怪我を癒やした。そのあとは空に向けて飛びただせた。

 空を飛ぶすずめ。

 ちょっと悲しかったけど、世話をするのはそこそこ楽しかった。

 何もかもが手探りで大変だったけど、僕はすずめを好きになった。

 そのあともすーちゃんがいないか、山道をよく歩くようになった。

 山は好きだ。

 自然と触れあえている気がする。

 小さな山だから何度でも上れる。登山靴も必要ない、普段着でいける山だ。都心からも近い。


 一ヶ月が経つと、僕の学校に『すずめ』という名の少女が転校してきた。

「親は深海しんかいまことです」

 冗談を言って笑わせるあたり、面白い少女だと思った。

 目鼻立ちも整っているし、活発そうなブラウンのポニーテールには惹かれるものがある。

「あ! あのときの!」

 僕を見つけた美少女――すずめは駆け寄ってくる。

「お嫁さんにしてください!」

「え……?」

「「「ええ――――――っ!?」」」

 クラスの全員が驚きの声を上げる。

「わたし、すーちゃんだよ!」

「……」

 驚きのあまりこの時の僕は気絶していたらしい。

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すずめの恩返し 夕日ゆうや @PT03wing

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