輪廻転生…もう一人の人生…
@koba58
第1話 終焉
「暗い…寒い…ここは?」
「そうだ、私は死んだんだ…」
暗闇の中の感情だけが渦巻いている中で紅葉雅(くれはみやび)は魂だけになった…何も見えず、何も聞こえない完全なる「無」にもなれない空間に漂っていた…
そこへ一つの光が差し込んできた。
「この光は…天国なのだろうか、いや、そんなはずはない」何故なら雅は病死でもなく事故死でもなく自らを殺めてしまったのだ。人生の中で幸福という感情を味わうことすらできずに、人生や全ての物事に対して恨みながら人生の幕引きをしたからである。
死の直前、雅は「私が死んでもこの恨み絶対に晴らしてやる!生まれ変わっても絶対に探してみせる!私の味わった苦しみを全て同じように味あわせてやる…何代先になろうとも…絶対に…」とつぶやきながら幕を閉じたのだった。
「天国なんかに行ってたまるか!この恨み絶対に晴らすまでは行くわけにはいかないんだ。でないと、私は何の為に死んだの?」魂だけになった空間で魂の雅の感情だけが浮かんでは消え、また浮かんでは消えていた…
しばらくすると先程光が差し込んでいた場所はみるみるうちに細く細くなっていき消えてしまった。再び暗く感情だけが渦巻くどす黒い空間に漂ってしまった。
「あの光の中に行けばもしかしたら楽になれたのかな…でも…そしたら何の為に死んだのかわからなくなるじゃない…」
「私は楽になるために死んだんじゃない!この恨みを晴らすために死んだんだから…これで良かったのよ…」
自問自答しながら「無」にもなれない暗い空間で雅の魂は恨みつらみのどす黒い感情を抱きながら長い時間漂うことになった…
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