第17話

カレーを食べ終わったので、俺は皿を少し洗い食洗機にぶち込んだ。

あると便利だよな食洗機。

洗い物の手間が相当省けるし、手が荒れなくて済む。


「風呂を先に沸かしておこうかな」


「先に沸かしておいたほうが良いと思うよ」


「とりあえず沸かしておくか」


リビングにある風呂のパネルから風呂自動を押すと「40度でお風呂に湯を入れます」という音声が鳴った。


「てかもう響は眠そうだな」


「少し…眠い…」


「風呂入ってから寝たほうがいいと思うぞ」


「うん…」


「あ…今思ったけど、響の着替えがないな」


「東海林君の着替えを使えば良いんじゃないかな?」


「確かに、響それで良いかな?」


「それで…良いよ」


「お風呂沸くまで、秋山と響はしたい事とかある?」


「僕は特にないよ」


「なら響はある?」


「なんでも…良いの?」


「なんでも良いよ」


「頭を撫でて…欲しい」


「良いよ。こっち来て」


俺はまたソファの方に移動した。

後ろから響きがついてきた。

うん猫みたいだね。


「今思ったんだけど、響君って誰かに甘えた事あるかい?」


「ほぼ…無い」


響が隣に座ったので、撫で始めた。

普段ほぼ表情が変わらない響が少し嬉しそうな表情になるのが、個人的に面白い。


「甘えたことがあんまりないなら東海林君にもっと甘えても良い気がするよ」


「…なら抱きしめて…欲しい」


「まぁそれくらいなら全然大丈夫」


響が膝の上に座ってきたので、そのまま抱きしめた。

そして隣に秋山が座り始めた。

男3人で座ってるけど、感覚男と思えないのが2人居るんだよな。


「…眠い」


「風呂沸いたら起こすから寝てても良いよ」


「うん…おやすみ」


「響君、寝るまでの時間早くないかな」


「確かな、もう寝てそうだし、のび太みたいだな」


「東海林君、僕も撫でて欲しい」


「分かった」


隣に座っている秋山の頭を俺は撫でた。

なんか俺って撫でるだけの人になってない?


「もっと撫でて欲しいかな」


「秋山ってそんなやつだっけ?」


「うん、そうだよ?だから撫でて」


「分かったよ」


「えへへ♪ありがとう」


とりあえず喜んでるみたいだから、良いか。

『お風呂が沸きました』と言う音声が流れてきた。

20分ぐらいで沸いたのかな?

最近入院してたから時間の感覚があんまないんだよな。


「響、お風呂沸いたぞ」


「………」


「しっかり寝てるね」


「思ったよりちゃんと寝ててビビってる」


「寝不足だったのかな?」


「どうしようか。起こさない方が良いのかこれ」


「起こしてお風呂に入れて寝かせた方が良いと思う」


「やっぱり起こすか」


膝の上に座っているので、揺らしてみた。

何か起きなさそうなんだけど…

どんだけ眠かったんだよ。

もうお風呂に沈めるしか無いのか?


「引っ叩いてみる?」


「ラリってる?」


「薬はやってないよ」


「それなら良いが…」


あ、俺が一回退いてみるか。

そして呼びながら揺らそう。

何でこんな簡単なことを思いつかなかったんだろ。

多分疲れてるんだろうな。


俺は響を下ろして、ソファに座らせた。


「響起きて」


「…っうん…」


「おはよう、お風呂沸いたけど入るか?」


「…入る」


「なら、先に入ってきな」


「…分かった」


響はそう言い、部屋を出た。

多分脱衣所に向かったことを願っている。


後書き


おかしいのは作者の頭かもしれない。

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