第2話 ネタ切れ

 優弥から動画を投稿したとの連絡があった。優弥曰く反響が凄く良いとのことだった。撮影した本人からすればどこに良い要素があるのか分からないが、優弥が嬉しそうなのでいいのだろう。


「さてと、今日は何をしようか…まあ無難なのの方が良いか。人の獲物を横取りしないために気を付けることとかか?」


 攻略マナーは色々とあるが、動画にしやすいようなマナーはそこまで多くない。


「ネタ切れか。そう考えると次々にネタを考えられる配信者って凄いんだな。なりたいとは思わないが」


 自身に配信者としてのセンスが無いことを自覚した煉はダンジョン攻略を開始するのだった。


――――――――――――――


「というわけでネタ切れだ」

「はやくもだね」

「止めていいか?」

「もう少しやってくれよ。ほらマナー違反者ってダンジョン初心者が多いだろ。それなら初心者によりそう‥初歩的な攻略情報とかどうだ? ダンジョンに親しみを持ってくれればマナー違反も減るかもしれないし」

「…そうか。まあ撮影自体は苦じゃないからいいんだよ。ネタを考える才能が俺にはないようだからな。初心者講座か。それはいいかもしれないな」

 

 早くもやる気に陰りが見え始めた煉を何とか説得した優弥はほっと息を吐く。先日上げた動画は早くも再生数がとんでもないことになっていた。優弥自身が数年間投稿を続けていたチャンネルの総再生数を優に越える数字。1動画で視聴者の興味を鷲掴みにした煉のタレント力。優弥になかったモノだ。

 優弥としては多少の悔しさはある。しかし彼の夢は有名になることではない。多くの人が視聴する動画配信に携わることである。そのため煉のモチベーション維持は必須である。優弥は自身のため、そして煉の動画を待つ多くの視聴者のため頑張るのであった。


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煉チャンネルについてスレ


80

煉チャンネルの新作、見た?


81

見てきた


82

相変わらず深層で撮影してて草


83

新作きたか


84

>>煉チャンネル『攻略マナー講座 横取り防止編』


85

タイトルだけ見ると伸びる要素皆無だなww


86

でも相変わらず内容がぶっ飛んでる


煉くんの台詞一部抜粋

「まず周囲に探索者がいないかを確認。念のため感知系スキルで確認すること。習得してない方は簡単に習得できるので習得を推奨」


「自然治癒系のスキルを持っているモンスターだと傷がないから戦闘中ではないと判断できないので、魔力の波動から戦闘の痕跡が無いことを確認。なので習得する感知系スキルは『魔力感知』を推奨します」


87

『魔力感知』って何?


88

習得してる人がいたら大手クランから勧誘されるレベルの高位スキル


89

低位スキルなら習得方法が載ってるサイトとかあるけど、『魔力感知』とか習得方法を発見しただけで一生食ってけれるんじゃねレベルのスキル


90

そんなもん推奨されても


91

てか習得を推奨とか言うってことは煉くんは習得方法知ってるってこ


92

言い方的には簡単だから皆覚えてきてねの言い方ぢった。


93

だったら何でそっちを動画にしないのww


94

需要を理解してないけど、供給が豪華すぎで皆満足しちゃう配信者


95

マジでそれ。深層のモンスターをバッタバッタと凪払いながら普通に解説してるのヤバすぎ


96

というか煉くんって大手クランに所属してる?


97

多分してない


98

なんで分かるの?


99

大手クランなら深層をソロ狩りなんてさせない。というか現在知られてる探索者で深層をソロで攻略してる人なんてそもそもいるの?


100

もし大手クランにいたとしたらめっちゃ有名になってると思うから個人勢なんでしょ。


101

個人勢でこの強さ。予言しよう。煉くんには大手クランからの勧誘がめっちゃくる。


102

予言っていうか単なる事実で草


103

俺が関係者ならもうとっくに勧誘してる


104

煉くん獲得したクランが今後の探索者業界の中心になりそうだな


105

それは言い過ぎだろ


106

それくらい煉くんはヤバイ。上級の探索者でも見たことないって言うレベルだから


107

それはそうとだけと、煉くんには個人勢を貫いて欲しいとも思ってしまう


108

わかる

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